2012年06月04日 15:00 〜 16:30 10階ホール
研究会「首都直下地震の被害想定と対策」

会見メモ

東京都防災会議地震部会専門委員の平田直・部会長(東京大学地震研究所教授)と、中林一樹・副部会長(明治大学大学院特任教授)が、日本記者クラブの研究会「首都直下地震の被害想定と対策」で東京都が見直した被害想定の詳細や防災対策などについて話し、記者の質問に答えた。


司会 露木茂 日本記者クラブ企画委員


東京都防災会議のホームページ

http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/meeting/index.html


会見リポート

死者・行方不明者9700人の衝撃

塚田 博康 (東京新聞出身)

4月に発表された東京湾北部地震による東京都内の被害想定は、2006年に公表された想定を死者・行方不明者数で4000人も上回る9700人という衝撃的な内容だった。


平田直東大地震研教授(左)と中林一樹明大大学院特任教授の講演に、多くの現役組を含め100人以上が集まったのは、東日本大震災以後の地震災害への関心の大きさを物語る。


平田教授は、被害増の理由について、南関東に最近設けられた地震観測点の増加によって、従来考えられたよりも、東京湾北部地震の震源が10㌔程度浅い地下20㌔程度と推定されることを挙げた。


その結果、マグニチュード7・3の地震が起きた場合、震度7の激烈な揺れが、東京港周辺に起き、これが死者数の増加をもたらす。


その代わり、震源が浅いので、震度6弱級の揺れの地域は狭まり、家屋の倒壊や負傷者は従来の想定より減るとされる。


中林教授は、この震度想定に基づいて、冬の午後6時ごろ、風速8㍍の強い風の中で地震が起きた場合の被害想定の結果を明らかにした。


木造建物の倒壊、火災の延焼、地盤の液状化、ゼロ㍍地帯の浸水などの惨害はこれまでも言われてきた。それでも、環状6号線と7号線にはさまれた一帯に、真っ赤に塗られた焼失被害激甚地が集中している図を見せられると、改めてゾッとした。


木造住宅密集地域の耐震・不燃化が被害軽減の基本なのはわかっている。美濃部都政以来、営々と進めてきながら、一向にできない防災都市づくりを「30年以内に発生する確率70%」の東京湾北部地震に間に合わせるには、これまでにない強力な手段の必要性を痛感させられた。



ゲスト / Guest

  • 平田直・部会長(東京大学地震研究所教授)、中林一樹・副部会長(明治大学大学院特任教授)

研究テーマ:首都直下地震の被害想定と対策

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