2012年05月18日 10:00 〜 11:00 10階ホール
カー オーストラリア外相 記者会見

会見メモ

今年3月に就任したオーストラリアのボブ・カー外相が来日し、二国間の安全保障情報や自由貿易について述べ、記者の質問に答えた。

スピーチ原稿(日本語、オーストラリア大使館作成)

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/06/20120518-Carr-JNPC-speech-J.pdf

スピーチ原稿(英語、オーストラリア大使館作成)

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/06/20120518-FM-Carr-speech-_E_.pdf

司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)

通訳 澄田美都子、大野理恵(サイマル・インターナショナル)

在日オーストラリア大使館

http://www.australia.or.jp/


会見リポート

対中関係で手腕問われる

坂口 智 (朝日新聞デジタル編集部(元シドニー特派員))

カー外相は、3月に就任したばかりだ。2005年にニューサウスウェールズ州首相を辞し、政界を引退していたが、前任者のラッド氏がギラード首相との確執から辞任したため急きょ登板となった。閣僚は連邦議会議員である必要があるため、任期途中で辞職した上院議員の空席を埋める任命を受けた上で外相に就任するという異例の人事だった。


カー氏は歯に衣着せぬ発言で知られるが、この日は慎重な言葉が目立った。日豪間で意見が対立する捕鯨についても、環境団体「シー・シェパード」代表逮捕についての質問に対し、捕鯨問題に関する一般的な応答要領を読み上げるにとどまった。外交の経験不足を認識した上で、安全運転を心がけている印象だ。


質問が多かったのはやはり中国関連だ。豪州にとって、中国はすでに日本を抜いて最大の貿易相手国。他の先進国経済がいずれも苦境にある中、豪州経済は中国の旺盛な資源需要に支えられ、比較的好調だ。対中依存度は年々高まっている。


カー氏は「中国が(軍事力の)規模と目的について透明性を増せば近隣諸国は安心する」と述べ、中国の軍事力拡大に注文をつけた。だが、日本の前に訪問した中国では逆に、米海兵隊2500人の受け入れ計画など、豪米間の軍事協力拡大について、中国側から「冷戦型の同盟の時代はとっくに終わってますよ」とクギを刺されたようだ。中国との関係で、カー氏が手腕を問われる場面は今後も多いだろう。


一方、そもそもギラード労働党政権自体が危うく、実力者のカー氏待望論もある。慣行上、首相は下院議員から選ばれるため、今カー氏がギラード首相に取って代わることはできないが、次期総選挙で下院にくら替えし、党首の座を狙うシナリオは十分ありそうだ。



ゲスト / Guest

  • ボブ・カー / Bob Carr

    オーストラリア / Australia

    外相 / Foreign Minister

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