2012年05月17日 13:00 〜 14:30 宴会場(9階)
クルチ 新駐日トルコ大使 記者会見

会見メモ

4月下旬に着任したクルチ大使がトルコの外交や日本との関係について述べ、記者の質問に答えた。


司会 日本記者クラブ企画委員 脇祐三(日経新聞)

通訳 トルコ大使館 ウルケル大使顧問


駐日トルコ共和国大使館

http://tokyo.be.mfa.gov.tr/default.aspx


会見リポート

成長に自信 日本との連携強化を

二村 伸 (NHK解説主幹)

「トルコがEUを必要としているかよりEUがトルコを必要としているか考え方を変えるべきだ」。長年の悲願であるEU加盟を拒まれ続けてきたトルコにとって立場が逆転したかのような強気の発言だが決してうぬぼれでも誇張でもない。クルチ大使の言葉は、信用不安にあえぐEUとアラブの春に揺れる中東諸国を横目に経済成長を続けるトルコの自信をうかがわせた。


2010年の経済成長率は9・2%、11年は8・5%。建設関連の受注額は世界2位、農業生産高は7位等々威勢の良い数字が次々と出てきた。ライバルのギリシャをはじめ南欧諸国とは雲泥の差であり、「EUに入らないでよかった」と言うトルコの人々の声が聞こえてきそうだ。


シリア情勢については「アラブの春を正しく認識できず悲劇を招いた」とアサド政権を強く批判。イランの核問題には「武力ではなく対話で解決すべきだ」と述べ、調停役を務めるトルコの存在感を印象づけた。


ソフトな語り口だった大使の話が急に熱を帯びたのはアルメニア問題に関してだった。地域の安定こそがトルコの基本という大使だが、オスマン帝国時代のアルメニア人「虐殺」は事実無根であり、隣国アルメニアとの対立はいっさい妥協の余地はないとトルコの信念を改めて見せつけた。


最後に力説したのが日本とトルコの連携強化である。アジアの東と西の端に位置する両国は、122年前の軍艦エルトゥールル号遭難事件を機に交流が始まり、トルコは世界でもトップクラスの親日的な国だが、両国の貿易量は意外なほど少ない。2020年の五輪開催をめぐっては火花を散らしそうだが、国際社会で影響力を強めつつあるトルコとの関係強化は日本が国際社会で生き残るためにも不可欠だろう。FTA交渉や原発建設への日本参入問題など新任大使は多くの宿題を抱えて来日したようだ。



ゲスト / Guest

  • セルダル・クルチ / Serdar Kılıç

    トルコ / Turkey

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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