2012年05月16日 12:00 〜 13:30 10階ホール
昼食会 横倉義武 日本医師会会長 横倉義武

会見メモ

4月に会長に就任した横倉義武氏が、日本医師会の目指す方向性などについて述べ、記者の質問に答えた。


司会 日本記者クラブ理事 加藤幹敏(中日新聞)

質問 日本記者クラブ企画委員 西川孝純(共同通信)


日本医師会のホームページ

http://www.med.or.jp/


会見リポート

地域から国へ 巨大組織の舵取りへ

木村 彰 (日本経済新聞社会部編集委員)

4月に民主党寄りの前職を破って当選した日本医師会の新会長は、巨大組織の舵をどう取っていくのか。


選挙戦で掲げたスローガンは「地域から国へ」。終戦後、住民の強い求めを受けて診療所を開設した父の後ろ姿を見て育ち、その後病院を受け継いで地域医療に取り組んできただけに、「地域医療の再興」を訴える声には熱がこもる。「現在策定中の新しい地域医療計画は、国が方針を決めて地方に従わせる従来のやり方ではなく、医療資源が異なる各都道府県がそれぞれの実情に合わせて作るよう改めるべきだ」


「政権との距離はあまりに近過ぎると振り回される。スタンスはあくまでニュートラル」と述べ、環太平洋経済連携協定(TPP)への対応については「過去の経緯から国民皆保険制を危うくする恐れがあり、しっかり歯止めをかけるよう政府に求めていく」と原則的な立場を強調する。


「かかりつけ医をもつよう国民に啓発する」「救急医療から回復期、慢性期、在宅療養まで切れ目のない医療・介護の連係体制を構築する」など、厚生労働省の施策と重なる主張も多い。「日医と厚労省が同じことを言うのは極めて珍しい」と会場から指摘されると、「現場の意見を政策に反映させてほしいという長年の主張が受け入れられた」と切り返した。


その一方で、高齢化の進展をにらんで地域医師会にも地域連携の要として汗をかくよう求め、医師会主導の地域連携で知られる広島・尾道や地域ぐるみの認知症対策に取り組む福岡・大牟田の例を挙げて、「先駆的な地域をモデルに、全体のレベルを高めていきたい」と語る。


「地域から国へ」は単なる題目ではなく、経験とビジョンに裏打ちされたしたたかな戦略と受け取れた。



ゲスト / Guest

  • 横倉義武 / Yoshitake Yokokura

    日本医師会会長 / Chairman, Japan Medical Association

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