2012年03月05日 13:30 〜 14:15 10階ホール
国連環境計画(UNEP)東北がれき処理調査報告

会見メモ

ゲストスピーカーは左から

マシュー・ガブ UNEP国際環境技術センター(IETC)所長

杉中淳 外務省 外務省国際協力局、地球環境課長・博士(総合政策)

今井正美 東京都 一般廃棄物対策課長

ムラリー・トゥマラクディ 災害廃棄物に関するUNEP 東北ミッションの専門家チームリーダー


司会  日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)

通訳 池田薫 (サイマル・インターナショナル)


国連環境計画(UNEP)国際環境技術センター(IETC)のホームページ

http://www.unep.org/disastersandconflicts/


会見リポート

「放射能絡みは担当外」に違和感

河野 博子 (読売新聞編集委員)

2月27日から3月3日まで、世界の災害廃棄物処理の専門家9人で構成される国連環境計画(UNEP)のチームが、岩手、宮城、福島の被災3県を視察・調査した。


トゥマラクディさんは、評価できる点として、環境省が早い段階でがれき処理のスケジュールとガイドライン、国の財政支援策を示したことを挙げた。また、災害時の緊急計画をたてていた自治体は迅速に対応できたとした。選別によりリサイクルを最大化している点も評価した。


パワーポイントの一枚目の写真が印象的だった。街路灯のてっぺんに、はしごのようなものや布きれがひっかかり、その高さは身長1㍍80㌢の彼の10倍近くに見える。昨年5月、南三陸町で撮り、世界各地で見せて津波の脅威を訴えているという。


会見では、複数の記者から、「被災地のがれきの広域処理が進まない。放射性物質が含まれる廃棄物が持ち込まれることを恐れる住民の反対があるからだが、どう思うか」と質問があった。しかし、答えは、「国連システムでは、放射性絡みの廃棄物は、IAEAの担当」と、「担当外」を強調したものだった。


原発事故により、広く拡散した放射性物質。環境省は、汚染の程度に基づく廃棄物の処理基準を示しているが、被災地のがれきを遠く離れた自治体が受け入れる広域処理はもちろん、関東各県でも、放射性物質が検出された焼却灰などの処理に手がつかない。1971年の発足以来、放射性物質は担当外だった環境省は、いまや、除染や放射性物質を含む廃棄物の処理に日々追われている。


だから、「担当外」回答はノウテンキに響いた。地震、津波、サイクロン、洪水とあらゆる大規模災害の現場を踏んできた専門家も口をつぐんでしまう。そうした異常事態のなかで、われわれが悪戦苦闘しているのだと、あらためて思い知らされた。



ゲスト / Guest

  • 国連環境計画(UNEP)東北がれき処理調査報告 / Expert mission studies Japan earthquake waste, UNEP testing method for estimating disaster debris

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