2012年03月02日 15:00 〜 16:00 10階ホール
スウィング 国際移住機関(IOM)事務局長

会見メモ

司会  日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)


国際移住機関ホームページ

http://www.iomjapan.org/

YouTube会見動画

会見詳録


会見リポート

「移住」人口10億人の世界

宮田 一雄 (企画委員 産経新聞特別記者)

世界人口70億のうち、2億1500万人は国境を越えて移住し、7億4000万人は国内で移住を余儀なくされている人たちだという。合計すると約10億。つまり世界の7人に1人が住み慣れた土地を離れて暮らしており、しかも、その数は現在もなお、増加の傾向にある。


「世界的な人の移動(移住)の問題」を専門的に扱うIOMのスウィング事務局長によると、いくつものDで始まる単語がこの移住の増加の要因になっている。


たとえば、先進国の高齢化と途上国の若年層の増加というデモグラフィ(人口動態)、人の移動や情報交換を容易にするディスタンス(交通手段の発達による距離の短縮)やデジタル(IT化)、さらにディザスター(災害)やディスパリティ(格差)。だんだん暗い話になってきそうだが、事務局長はドリーム(夢の実現)の存在も最後に強調した。


地球規模の課題には、プラスとマイナス、進歩と破壊の両方の側面がある。そうした認識を踏まえ、移住問題の動向や課題を短時間で手際よく報告する中でも、希望を失わず、肯定的な評価を示していく。このあたりが米国務省のベテラン外交官として数多くの国際紛争の調停にあたった経験というものだろうか。


日本の移住政策についても、80年代初頭からのインドシナ難民受け入れに始まるIOMとの協力関係や最近のミャンマー難民を対象にした第三国定住受け入れのパイロット事業、定住外国人の子どもたちの就学支援事業「虹の架け橋教室」などを前向きに評価した。東日本大震災時の対応に対する評価も高い。


このあたりは日本のジャーナリスト側には違和感もあり、採点が甘いのではないかという趣旨の質問が相次いだが、その疑問に丁寧に答えたことが、結果として会見の内容をより深めていった印象も受けた。



ゲスト / Guest

  • ウィリアム・レイシー・スウィング / William Lacy Swing

    国際移住機関 事務局長(IOM) / Director General of International Organization for Migration

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