2012年02月20日 14:00 〜 15:00 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」 河野太通 全日本仏教会会長 全日本仏教会会長

会見メモ

2011年12月、「原子力発電によらない生き方を求めて」という宣言文を発表し、脱原発依存を明らかにした伝統仏教教団の全国組織、全日本仏教会の河野大通会長と戸松義晴事務総長がシリーズ企画「3.11大震災」で話し、質問に答えた。


全日本仏教会のホームページ

http://www.jbf.ne.jp/


河野会長は、第二次大戦中、仏教寺院が信徒の募金で戦闘機を買い、陸軍に寄贈したことを振り返り、河野師が戦後50年を機に教団としてざんげを表明するようよびかけ、その7年後にざんげ表明があったことを紹介した。「かつて政府に順応し戦争を勢いづける役割を果たした教団として、今回の福島原発事故について何もいわないなら、戦争中の仏教と同じであり、日本社会における仏教の意味がない」「何も言わないと黙っている間に世界は動き、世界のあとを追うだけの仏教界となる」「だれかを不幸に陥れ、犠牲の上に成り立っていることを知って快適さを追求する生活を反省し、電力利用を抑えて原発を必要としない社会をつくる」と宣言発表に至った理由を詳しく説明した。


司会 泉 宏(日本記者クラブ企画委員)


会見リポート

宗派超え警鐘「脱原発依存」宣言

結城 公生 (京都新聞東京支社長)

東京電力福島第一原発事故を受けて、全日本仏教会は昨年12月、「脱原発依存」を宣言した。


賛否の分かれる原子力発電をめぐり、「いのちを脅かす原発への依存を減らし、原発に依らない持続可能なエネルギーによる社会の実現を目指す」と一歩踏み込んだ表現で方向性を打ち出した。異例の宣言と受け止められがちだが、「仏教の根本理念である人権の尊重、人命の尊厳に基づく、普通の発言」と語る。


自ら管長を務める臨済宗妙心寺派は、ひと足早く同趣旨の宣言文を採択し、他宗派でも原発依存への反省の声が強まった。「反対はなかった。みなさん同じ思いをされているのだろう」。全日仏は伝統仏教教団59宗派や都道府県仏教会などが加盟し、全国約7万5千寺院の大半が所属する。宗派の垣根を超えた「警鐘」とも言えようか。


日本の仏教教団がかつて戦争遂行に加担したことに厳しく言及してきた。「脱原発依存」も、その延長線上にある。「口を閉ざしていたのでは、仏教教団が戦争へと転がっていく社会的状況に順応したのと同じ」と言い切る。


阪神・淡路大震災時、神戸の僧堂にいた。被災しながらも雲水らと避難所への炊き出しに携わった。過酷な体験が東日本大震災と重なる。


「原発事故によって多くの人が故郷を追われ、いつ帰れるのかも分からない。われわれの便利で快適な生活は、誰かを不幸に陥れ、その犠牲の上に成り立っている。成り立ちや仕組みを知るにつけ、原発に依存してはいけないと思うようになった」と切々と訴える。


「脱原発依存」宣言から一歩踏み出す意気込みを問われ、「言いっ放しじゃ、いけない」。仏教界のリーダーとして、地に足の着いた取り組みを期待したい。


ゲスト / Guest

  • 河野太通 / Kono Taitsu

    日本 / Japan

    全日本仏教会会長 / Representative,  Japan Buddhist Federation

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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