会見リポート
2012年02月14日
14:00 〜 15:00
10階ホール
チュニジア外相付国務長官 記者会見
会見メモ
Hedi Ben Abbes, Secretary of State to the Minister of Foreign Affairs, Tunisia
チュニジアのヘディ・ベンアベス外相付国務長官(米国・アジア担当)が来日し、記者会見した。
ベンアリ政権崩壊につながった民主化運動から13か月たち、制憲議会選挙や連立政権発足など革命の歩みを説明した。民主主義の原則として、司法の独立やメディアの独立をあげた上で、「民主主義は食料を提供しない。社会と経済の発展を作りたい」と語った。連立政権を構成する3党の立場の違いを説明し、連立をまとめる難しさはあるが、民主化を進める点では3党は合意していると強調した。シリア情勢について、シリア国民を支援する道義的責任がチュニジアにある、と述べ、内戦と外部の軍事介入の危険を指摘し、政治的解決を求めた。
司会 脇 祐三(日本記者クラブ企画委員 日本経済新聞)
通訳 長井鞠子(サイマル・インターナショナル)
在日チュニジア大使館のホームページ
会見リポート
路線対立越え新体制づくりへ
平田 篤央 (朝日新聞GLOBE副編集長)
中東や北アフリカで、独裁政権が相次いで倒れる「革命」の連鎖が起きて1年以上になる。もっとも、「アラブの春」などという口当たりのいい言葉とは裏腹に、民主化への道のりはそうたやすくない。エジプトでは軍が政権に居座っているし、リビアには部族対立の火種がくすぶる。湾岸ではデモは力で押さえつけられ、シリアの流血は続く。
そんな中で、連鎖の発端となったチュニジアは最もうまくいっている例だろう。昨年10月には制憲議会選挙が行われ、穏健イスラム政党のナハダが第1党となり、世俗主義の共和国会議(CPR)、左派エッタカトルと3党連立政権をつくった。当面、路線対立は棚上げして新体制づくりを急ぐ姿勢を見せている。
ベンアベス外務大臣付国務長官(外務副大臣に相当)は、会見でその背景と今後の課題を語った。
CPR創設メンバーであるベンアベス氏は、ナハダについて「イスラム主義のバックグラウンドはあるが、ほかのどの地域のイスラム政党とも違う」と指摘。宗教は政治から距離を置くべきだとの考えは共有しているとし、「さもなければ、一緒にやれなかったはずだ」とした。
エジプトでは穏健派のほかに、イスラム法の厳格な適用を求める「サラフィー主義」と呼ばれる勢力が台頭している。これについてベンアベス氏は「チュニジアは穏健さが特徴で、サラフィー主義は取るに足らない存在でしかない」と述べた。
体制転換は、各国の経済に大きな打撃を与えている。特に観光立国のチュニジアでは影響が大きい。ベンアベス氏は「民主主義は国民に食料を与えてはくれない」と認めるとともに、チュニジアはアフリカ進出の足がかりに最適だと強調して、日本企業の進出などに期待を寄せた。
ゲスト / Guest
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ヘディ・ベンアベス / Hedi Ben Abbes
チュニジア / Tunisia
外相付国務長官 記者会見 / Hedi Ben Abbes, Secretary of State to the Minister of Foreign Affairs.