2012年02月08日 15:00 〜 17:00 10階ホール
クリスチャン・マセ 新駐日仏大使 記者会見

会見メモ

1月に着任したばかりのマセ新フランス大使が最初の記者会見を行った。


質疑応答では、日本とEUの経済連携協定交渉について、農産物加工品、薬品、政府調達の3点をあげ、「日本市場の開放を期待する」と述べた。EUの中国への武器禁輸について、フランスは禁輸解除の立場だが、EU内に反対論があり、ただちに解決しないだろう、と説明した。また、今年のフランス大統領選に関連して、フランスには日本との関係についてコンセンサスがあり、政権が代わっても日仏関係に変化はない、と強調した。

司会 坂東賢治(日本記者クラブ企画委員 毎日新聞)


フランス大使館のホームページ

http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?rubrique7



会見リポート

日仏つなぐ文化尊重の精神

池村 俊郞 (読売新聞調査研究本部)

フランス外務省で国際経済畑を主に歩んできた新大使。会見の冒頭発言でまず言及したのが、日仏をつなぐ文化尊重の精神だった。


「本能的に互いを好感しあう気持ちが両国にはある」という、第2次大戦前の文人駐日大使、大先輩ポール・クローデルの発言を引用した。


「実際、いまフランスで外国語翻訳本で英語に次いで多いのが日本語もの。日本文学とマンガへの高い関心のおかげです」


「文化を基盤に政治、経済、人的交流など各方面に日仏関係が広がり、強化されている」という基本認識があるので、「4月から6月までフランスは大統領と国民議会の国政選挙が続くが、だれが指導者になろうと、仏日関係は揺るがない」とも。


昨年3月の大震災直後にサルコジ大統領、10月にフィヨン首相がそれぞれ訪日。今年1月には両国外相による戦略対話が開始された。大震災を境にフランスの対日外交は積極性を増している。


自身も福島を訪ねた。仏カキ養殖業界が津波に襲われた宮城県の同業者を支援している。40年前、仏産カキを全滅から救ってくれた「お返しプロジェクト」という。


経済局や欧州連合(EU)常駐仏副代表など歴任後、グローバル関係局の初代局長。在外勤務は欧州域内が中心だったのに駐日大使に。「G8、G20を担当したので、外務省が東京を考えてくれたのでは」


多国間外交に長じ、影響力の大きなフランスは、同じく国連外交を重視する日本にとって欠かしてはならない政治的な友人。いまや対日投資国でフランスは米国に次ぎ、欧州大陸では最大の日本投資受け入れ国となった。関係は意外と根太い。


夫人と子息3人の家族。休日、自転車で都内を駆け回り、「東京の街並みと、建築デザインの多様さ」に驚嘆し、楽しんでいるとか。


ゲスト / Guest

  • クリスチャン・マセ / Christian Masset

    フランス / France

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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