会見リポート
2012年01月18日
16:45 〜 17:45
10階ホール
アハメド・ナシーム モルディブ 外相 記者会見
会見メモ
会見リポート
インド洋の要衝 国際政治が凝縮
杉田 弘毅 (共同通信編集委員兼論説委員)
日本からの観光客が毎年4万人訪れる海の楽園モルディブ。だが記者会見は、米国、インド、中国が競うインド洋の安全保障や、イスラム原理主義の伸長など、現代国際政治が凝縮された内容だった。
インド南端から約500キロ南西に浮かぶモルディブは、21世紀の戦略的要衝に位置する。大国から軍事協力の誘いがきたらどう答えるのか、と聞くと、「外国の軍隊の駐留は認めない」と明言した。中立を維持する観光立国だけあって「平和を愛する国」のイメージ維持は重要な国益だ。
イスラム教の国だが、懸念は過激なイスラム原理主義組織の影響が国内で強まっていることだ。民主化が進むエジプトやチュニジアでのイスラム勢力の伸長に対して、「過激な原理主義はイスラムの精神に反する。国民が冷静になってから選挙をすべきだった」と懸念を表明した。
ソマリア沖の海賊問題も頭痛の種。インド洋の航行の自由が侵されれば、ようやく後発開発途上国(LDC)の地位から脱却したのに、再び逆戻りしてしまう懸念がある。
島嶼国として気候変動にも敏感だ。海面上昇よりもサイクロンの多発など異常気象の方が大きな脅威と言う。人間の活動で排出される二酸化炭素の量と吸収される量が同じであるカーボン・ニュートラルを2020年には実現する目標を世界で初めて立てた。「次の産業革命は再生可能エネルギー」というのが信条だ。
ゲスト / Guest
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アハメド・ナシーム / Ahmed Naseem
モルディブ / Maldives
外相 / Foreign Minister