2012年01月06日 15:00 〜 16:00 10階ホール
マイケル・ウッドフォード オリンパス元社長 記者会見

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)
通訳 ミラー和空

Olympus Grassroots.com
http://www.olympusgrassroots.com/

オリンパスのホームページ
http://www.olympus.co.jp/jp/

会見リポート

不思議の国のアリス

中川 仁樹 (朝日新聞経済部)

「みなさん、もっとオリンパスを追及してください」


オリンパス社長への復帰がかなわず、失意のうちに日本を去ったウッドフォード氏。その最後の会見は、私たちに大きな課題を投げかけた。


舌鋒鋭く、歴代の経営陣を批判した12月の会見に比べ、口ぶりには疲れの色が濃く、時折、悲しげな表情を浮かべた。その心の奥に漂っていたのは、「正義を行った者」が追われる無念さだったに違いない。


社内で不正問題を追及後、昨年10月14日に社長を解任された。以来、世界を飛び回って、必死に不正経理を告発した。そのかいあって、オリンパスは粉飾決算を認めた。


だが、現経営陣は前社長の言うがままに不正を見過ごし、第三者委員会から「イエスマンが多い」と切り捨てられたのに、「解任は不正を追及したのが理由ではない」と、社長への復帰を拒んだ。


彼の社長昇格は昨年4月、最高経営責任者(CEO)に就任したのは10月1日だ。解任までの短い期間を考えると、その説明を素直に受け入れるのは難しい。


彼は私に繰り返し、「日本のメディアはなぜ現経営陣の居座りを許すのか」と憤った。新聞やテレビの報道からは、不正への怒りが欠けていると感じた。証拠が足りないことを理由に、大きな疑惑を追及することをあきらめているようにも見えた。


メーンバンクも主要株主も批判の声をあげず、「正義の行動」への支持は広がらなかった。精力的に各界の実力者にも会ったが、「日本は変わらない」とまで言われた。結局、不正の告発者の名誉回復という最低限の条件すら果たされなかった。


会見では、「まるで不思議の国のアリスだ」と何度も繰り返した。残された我々は、「不思議の国」を変えていく責任を負った。



ゲスト / Guest

  • マイケル・ウッドフォード / Michael Woodford

    オリンパス元社長 / Former President and CEO of Olympus

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