2012年01月18日 15:00 〜 16:00 10階ホール
研究会「TPP」⑤ 山田正彦 元農水相

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 村田泰夫


山田正彦氏のページ

http://www.yamabiko2000.com/


会見リポート

米はTPPへの関心が低い?

田中雄一郎 (朝日新聞論説委員)

TPP(環太平洋経済連携協定)に反対する勢力の、中心人物の登場である。


TPPを巡って交渉中の9カ国のうち、日本の参加問題でカギを握るのは米国だ。山田氏ら民主党議員数人は1月上~中旬の1週間弱、米国に飛び、政府の通商担当者や業界団体、学者、上下両院議員のスタッフ、NGOなどを訪ねた。その帰国報告だ。


米国側の全体としての印象は「TPPへの関心が低い」「貿易自由化への反対が予想以上に強い」とのことだったが、聴衆が注目したのは、訪問先の「生の声」だろう。


USTR(米通商代表部)のマランティス次席代表は、米側の日本に関する関心事項について「米韓FTA(自由貿易協定)を見てほしい」と強調。自動車のビッグ3が作る全米自動車政策評議会では、日本市場の閉鎖性の表れとして、軽自動車の優遇措置やエコカー減税、車検制度などを並べ立てたという。


一行は、世界銀行の投資紛争国際センターも訪れた。「企業など投資家が国家を訴えることができる仕組み」として米韓FTAなどに盛り込まれ、韓国で騒ぎになっている「ISDS条項」にかかわる組織だ。山田氏は詳細には触れなかったが、センターの事務局長とのやりとりが議事録としてまとめられている。制度が実際にどのように運用されているのか、貴重な記録となりそうだ。


山田氏が加える解説には、反対派としての極端な内容が散見された。一方、日本の外務省や経済産業省などの説明には、TPP推進のバイアスがかかりがちだ。大手メディアでは、全国紙5紙を筆頭にTPP賛成の論陣が目につくが、交渉のテーマは20を超え、日本にとっての損得は複雑に絡み合う。メディアには今後、「現実はどうか」を伝える努力が一層問われるだろう。



ゲスト / Guest

  • 山田正彦 / Masahiko Yamada

    日本 / Japan

    元農水相 / Former Minister of Agriculture

研究テーマ:TPP

研究会回数:0

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