2011年12月21日 15:00 〜 16:00 10階ホール
ヒシャム・エルゼメティー・新駐日エジプト大使

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 脇祐三(日本経済新聞)

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)

エジプトの政党勢力図PDF(英語版)

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/12/Map-of-EG-Political-Parties-12-11-2011.pdf


エジプト大使館のホームページ

http://www.egypt.or.jp/


会見リポート

「イスラム国家化」の恐れを一蹴

前田 英司 (毎日新聞外信部)

ムバラク政権を打倒したエジプトは今、国家再生という難題に立ち向かっている。30年に及んだ独裁からの脱却だから、むしろ、新たな国家の「産みの苦しみ」と言った方が適当かもしれない。


昨年9月に着任したエルゼメティー駐日エジプト大使が新任会見を開き、政変の背景などを解説した。大使によれば、国内メディアでは既に05年ごろから兆候が現れていた。エジプトには政府系、独立系で計約50のテレビ局があり、日刊紙や週刊誌は100以上。毎晩のようにトークショーで「変化」の必要性が議論されていた。総人口8000万人のうち、インターネット加入者数は2000万人、携帯電話の保有数は7000万台に上る。若者たちがコミュニケーションを図る下地は十分あった。


大使は「(暫定統治を続ける)軍最高評議会への権限移譲は合法的だ」と強調した。早期の民政移管を求めるデモは依然続いているが、その第一歩となる人民議会選は順調に滑り出した。選挙に参加した42政党のうち31党はムバラク政権崩壊後にできた新党だ。「よりよい政治体制への移行は一日では実現しない。民主主義のプロセスを徐々に経験していく中で行き着くことができる」


その人民議会選ではイスラム原理主義組織ムスリム同胞団の政党が台頭したが、「思想的には穏健派。テロリストの分派が政治組織化したわけではない」と説明し、欧米などが懸念する「イスラム国家化」の恐れを一蹴した。


大使は今回の政変を「革命」と呼んだ。しかし、デモの聖地カイロ・タハリール広場にも駆けつけた中東通信のベテラン記者は「軍が途中介入したから『革命』でなく『蜂起』に過ぎない」と厳しく評価する。諮問評議会選、新憲法起草、大統領選と「革命」の道はまだ続く。


ゲスト / Guest

  • ヒシャム・エルゼメティー / Hisham EL-ZIMAITY

    エジプト / Egypt

    駐日大使 / Ambassador of Egypt to Japan

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