2011年12月14日 14:30 〜 16:00 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」トーマス・コーベリエル・自然エネルギー財団理事長

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)


自然エネルギー財団のホームページ

http://jref.or.jp/


会見リポート

脱原発への知見を披露

小倉 貞俊 (東京新聞特別報道部)

昨年8月にスウェーデンのエネルギー庁長官の職を辞し、孫正義・ソフトバンク社長が私財を投じて設立した「自然エネルギー財団」(本部・東京)の理事長として迎えられた。


任期半ばでの転身に踏み切ったのは、日本人の「福島原発事故を乗り越えたい」という強い意思に共感したため。190㌢を超す長身と力強い語り口に意欲をにじませ、日本が進むべき「脱原発」への知見を披露した。


スウェーデンは、国内発電量に占める水力発電などの自然エネルギーの割合が47%にも上る一方、原子力発電は原子炉12基のうち2基を停止するなど、縮小に向かっている。自然エネルギーの推進にかじを切ることができた背景には、国を挙げての支援策があるという。


化石燃料に税金をかけて木質バイオマス燃料の普及を後押ししたのをはじめ、風力発電なども産業として軌道に乗せた。電力会社の発電部門と送電部門を分離、近隣諸国と海中ケーブルをつないで電力の融通を可能にするなどし、電力市場を自由化。企業が新規参入し、電気料金の低価格競争が続いている。


では、電力会社が地域ごとに強力な独占体制を敷く日本でも、こうした改革は進むのか。「自然エネルギーを生み出すコストは、現在考えられているよりもずっと安くすむ。経済効率が非常に高く、投資のチャンスも広がると知ってもらえるよう努めたい」と強調。「原発は、高額の賠償金が派生する事故リスクを考えると割に合わず、削減していくべきだ。電力市場の開放と、官僚的な規制の撤廃も必要」と提言した。


工学博士であり、バイオエネルギー関連の企業で役員も務めるなど、豊富な知識と経験、人脈が武器だ。日本の政策にどんな影響を与え、市場をどう変えていけるのか。大きな期待がかかっている。


ゲスト / Guest

  • トーマス・コーベリエル / Tomas Kåberger

    自然エネルギー財団理事長 / Executive Board Chair, Japan Renewable Energy Foundation (JREF)

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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