2011年12月09日 15:00 〜 16:30 宴会場(9階)
研究会「TPP」③山下一仁キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 村田泰夫


キヤノングローバル戦略研究所のページ

http://www.canon-igs.org/


会見リポート

自由貿易こそ食料安保の基礎

村田 泰夫 (企画委員 朝日新聞出身)

東日本大震災で中断していた研究会「TPP」を再開した。今後、政治家、経済人、研究者らの中から推進、反対両派の論客を招くことにした。最初に推進派の山下一仁氏に来ていただいた。


山下氏は農水官僚出身で、ガット・ウルグアイラウンド交渉の当事者でもあったから、農業問題だけでなく通商問題にも精通している。


それだけに、巷にあふれる「TPP亡国論」には納得がいかないようだ。「TPPは米国の謀略だ」「食品安全規制が引き下げられる」といった懸念について、山下氏は根拠を示して誤りだと断じた。


関税撤廃で大きな打撃を受けるといわれる日本農業の問題について、山下氏の論説は歯切れがいい。「人口減少で国内市場が縮小する時代には輸出に活路を見出すしかなく、日本農業にはTPPが必要である」


日本農業の競争力については、高品質の農産物をつくる、増収技術を磨く、減反をやめるなどの農政転換に踏み切れば、海外産と十分対抗できる。どうしても残る内外価格差については、大規模農家に絞って政府が農家の所得を補償する。大規模農家への助成は、零細農家に支払う地代の上昇につながるので、零細農家も潤うはずだという。


米づくりに適している日本は、減反をやめて良質米の大量生産に徹し、平時は海外に輸出する。小麦や飼料穀物は輸入しても構わない。万が一の事態が起きて食料輸入が止まった時には、海外に出していた米を国内に回せば国民は飢えないですむ。これが食料安保だという。


TPP問題はなぜか議論が熱くなる。会場からは「TPPにこだわらず、アジア諸国との自由貿易協定を優先すべきではないか」など、活発な質問が出た。研究会を重ねることで冷静な議論を深めていきたい。


ゲスト / Guest

  • 山下一仁 / Kazuhito YAMASHITA

    日本 / Japan

    キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 / The Canon Institute for Global Studies

研究テーマ:TPP

研究会回数:0

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