2011年11月15日 18:00 〜 19:35 10階ホール
上映会「ドナルド・キーン先生日本人となる~その半生に込められた日本への思い」

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会見リポート

「日本人となるキーン先生」特番を制作して

塩澤喜代彦 (TBS系制作会社ビューキャストプロデューサー)

東日本大震災後、外国人の多くが日本を去る時期に、ドナルド・キーン先生(88歳・当時)は、日本国籍の取得を表明された。「日本人となって日本国民と共に苦しみを分かち合いたい。これまで、親切に接してくれた日本の皆さまへの感謝の気持ちを、このような形で表したい」。日本中がこのニュースに感動した。


私たちは、キーン先生のドキュメンタリーを制作するべく今年初めから、すでにニューヨークで取材を始めていた。だから、「3・11」後の先生の決断は、“想定外のこと”だった。


4月26日、コロンビア大学での最終講議。日本そして地元ニューヨークのテレビ、新聞社の記者など取材陣は40人を超えた。「日本人となるキーン先生」は、メディアの注目を集めていた。


番組は、放送予定を早めて10月16日BS-TBSで放送した。タイトルは、「ドナルド・キーン先生日本人となる~その半生に込められた日本への思い~」。反響は大きく、放送直後から再放送の要請が多く寄せられた。そのような背景から11月15日、日本記者クラブで「特別上映会」が開かれた。キーン先生も姿をみせ、「テレビは1時間取材して放送は3分、と思っていたが、今回はきちんと、しっかりした番組ができました」と挨拶してくださった。


私たちは先生の著作を徹底的に読み、傍証に力をいれた。そうしたことが先生からの信頼を一層得られたのだと思う。撮影に一切の注文はなかった。制作した番組は、いわば先生のこれまでの89年の人生の上に重ねられたというわけだ。ドキュメンタリーの構成に意を尽くしたことは当然だが、先生の顔の表情から、そして言葉から、巧まずして先生の人柄が視聴者の皆さまにきちんと伝えられたことが、高評価につながった。


「伝える」ことを仕事に44年。いくつかのメディアを経験したが、映像メディア「テレビ」の強さを、これほど強く感じたことはない。


ゲスト / Guest

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