2011年09月20日 16:00 〜 17:00 宴会場(9階)
ポリオ撲滅 WHO 記者会見

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 会田弘継(共同通信)

通訳 西村好美(サイマルインターナショナル)


使用した資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/09/d976ce08e6b3fb820be443798b87159b.pdf


WHOポリオ撲滅イニシアティブのホームページ

http://www.polioeradication.org/


会見リポート

ポリオ撲滅間近だが、難問あり

澤井 仁 (日経BP社参与)

WHOのローランド・サッター氏は20年以上にわたってポリオの撲滅に努めてきた。同氏は「ワクチン接種で成果が上がり撲滅直前だが、難問にも直面している」と強調した。


ポリオは感染すると200人に1人の割で手足などの麻痺を起こすウイルス性疾患だ。1950から60年代には米国や日本でも小児麻痺の患者をよく見かけたものだ。88年からWHOの撲滅キャンペーンが始まり、世界で小児を中心とするワクチンの経口投与による免疫獲得運動が活発化し、以来劇的に患者数は減ってきた。そして現在では野生株ウイルスが残っているのは4カ国、インド、ナイジェリア、アフガニスタン、パキスタンである。


ポリオウイルスは、エイズ、インフルエンザのように、突然変異を起こして生き延びていくウイルスではない。1から3型まであるが変異がないだけに、本来はワクチン接種によって根絶はしやすい人類の敵である。これまでキャンペーンでは麻痺患者を見かけた国に対しては徹底的にワクチン接種を行う。サーベイランスをし、こぼれた地域に的を絞って集中的にワクチンを徹底する。こうした運動が功を奏してきた。


しかし問題はこれからだ。アフガニスタンやパキスタンでは紛争が続き、政府のコントロールが効かない地域でワクチンの接種が計画通りいかない。最近中国新疆で発生したが、これはパキスタンからカラコルムハイウェイ経由での感染という。またサウジアラビアへの巡礼とともに感染が広がる事例、アフリカへの広がりなども見られる。インドやナイジェリアでは成果はかなり上がり、特にインドでは99年には2型ウイルスは撲滅した。しかしまだ撲滅には至らず、こうした国々から世界40カ国にウイルスが広がっているという。わが国では資金面やウイルス開発の技術面で援助している。撲滅が可能な疾患だけにさらに英知を結集したい。


ゲスト / Guest

  • ローランド・サッター / Roland Sutter

    世界保健機関 / WHO

    ポリオ撲滅イニシアティブ部長代理 / Global Polio Eradication Initiative

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