会見リポート
2011年09月09日
16:45 〜 17:45
宴会場(9階)
ワルストロム 国連事務総長特別代表防災担当 記者会見
会見メモ
会見リポート
世界と防災知識の共有を
小野塚未来 (共同通信内政部)
各国の防災対策と国際協力の推進を担う国連国際防災戦略(UNISDR)事務局の担当として来日した。今回の東日本大震災について、防災意識を高める訓練や耐震基準が死者数を大幅に減らしたと評価し、「日本はスポークスマンの立場にある」と震災の経験や知識を世界と共有する必要性を指摘した。
来日の目的は、被災地視察や日本政府関係者との意見交換。今回の震災については、日本では建物の耐震基準がきちんと守られていたり、地震波を検知して鉄道を停めるシステムが機能したとの意見を明らかにした。特にこれまでの防災教育や訓練が早期避難につながったとして、全国で大規模な訓練をする9月1日の「防災の日」のような日を他国でも設けることを提案した。
さらに、今後日本がするべき取り組みについて、住民に防災意識を常に持っていてもらうよう、教育や防災対策を呼びかけるメッセージの内容を定期的に変える工夫をすべきだとした。また、今回の災害が与える長期的な社会・経済的影響を分析することや、防災の最新の研究を世界に伝えることの必要性も強調。今後も国連の防災面での活動に関与し続けることを求めた。
一方、東京電力福島第一原発の事故に関する政府の情報提供が不十分との指摘には、「多くの国は情報を出すことが住民の恐怖心をあおるのではないかとのイメージを持つが、それは現実的ではない」と訴える。住民の安全性を高めるためには情報が必要で、住民が警報などの情報にそって行動してもらうような教育が必要だと忠告した。
また、各国も今回の原発事故のような技術的な災害にも目を向け、リスク管理に取り組む必要性を強調した。
ゲスト / Guest
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マルガレータ・ワルストロム / Margareta Wahlström
国連 / UN
国連事務総長特別代表(防災担当) / UN Secretary-General’s Special Representative for Disaster Risk Reduction