2011年09月08日 14:00 〜 15:30 10階ホール
研究会「9.11から10年 アメリカは変わったか」  渡辺靖 慶応大教授

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 脇祐三(日経新聞)


2010.11.11日本記者クラブでの講演

http://www.youtube.com/user/jnpc?feature=mhum#p/u/15/D8RFvk24k40


会見リポート

キーワードはセキュリティー

三浦 俊章 (朝日新聞論説委員)

「9・11以後のアメリカ社会を読み解くキーワードはセキュリティー(安全)である」と渡辺氏は言う。空港検査らしい検査のなかったアメリカで、全身をスキャンする厳重なチェック体制がひかれている。プライバシーをあれほど重んじてきた社会が、監視カメラであふれている。同時多発テロ後に制定された「愛国法」に基づいて、Eメールが監視され、中東系住民が微罪で逮捕されることもある。すべては、警戒を緩めるとまた同じようなテロが起きるのではないかという恐怖心が広がっているからだ。政府や軍を批判するはずのメディアも、世論の反発を恐れて、歯切れが悪い。この変わりようは「テロ以前の状態に戻ることは想像できない」。


文化人類学から出発し、コミュニティー論、文化交流、さらに現代政治を含む総合的アメリカ研究へと領域を広げてきた渡辺氏だけに、アメリカを論じる視座は、重層的だ。


国際社会におけるアメリカの位置については、「相対的に地位が低下し、20世紀のように21世紀が『アメリカの世紀』であると信じる人はいない」と手厳しい。だがその一方、「アメリカ衰退論には一定の留保がある」と慎重だ。理由としては、今でも移民を受け入れることでアメリカが人口を増加させていること、アメリカの大学や企業が依然として世界から人材を引きつけていることなどを挙げた。黒人のオバマ大統領が誕生したことに象徴されるように、アメリカには自己変革力がある、と渡辺氏は強調した。


共和党陣営でディベートが始まった来年の大統領選については、過去の例を挙げながら、現時点の世論調査はあてにならないと指摘。大統領個人の人気は下がっていないことなど、オバマ再選を予測するデータもあることを紹介した。


ゲスト / Guest

  • 渡辺靖 / Yasushi WATANABE

    日本 / Japan

    慶応大学教授 / Professor, Keio University

研究テーマ:9.11から10年 アメリカは変わったか

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