2011年09月09日 14:00 〜 15:30 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」望月晴文 元経産省事務次官 

会見メモ

シリーズ企画「3.11大震災」


司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)


使用した資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/09/e9f3da19e06f39c8149c497efe2cb52a.pdf


経済産業省ホームページ

http://www.meti.go.jp/


会見リポート

14基増設計画の背景を吐露

井上 忠明 (読売新聞経済部)

原子力安全・保安院次長や資源エネルギー庁長官などエネルギーにかかわる要職を歴任した経験から、自らを「エネルギー事務官」と呼ぶ。その使命感からだろう。未曽有の被害をもたらした東京電力福島第一原子力発電所の事故を念頭に「安全問題は私も責任の一端がある。残念でならない」と率直に語った。


3月11日の東日本大震災を機に、エネルギーを巡る環境は一変した。菅前首相は「脱原発依存」構想を掲げ、昨年6月に策定したエネルギー基本計画を白紙から見直すと明言した。同計画では、2030年までに14基以上の原発を新増設して全発電電力量に占める原発の割合を5割に高める方針だったが、意外にも望月氏はこの目標について「相当背伸びした数字だった」と打ち明けた。


計画の背景には、2009年に鳩山元首相が表明した「2020年までに温室効果ガスを1990年比25%削減する」との考え方があった。目標達成には温室効果ガスを排出しないエネルギーの活用が不可欠なため、望月氏は「エネルギー自給率を上げる意味でも、再生可能エネルギーや原子力発電の比率を上げるしかない」と考えたという。


今後のエネルギー政策について望月氏は、セキュリティー(安定供給)、コスト、環境の三つの観点が重要だと指摘したうえで、「原子力発電の比率を下げるならば、取って代わるものもセキュリティーなどの観点が必要。短期的には(温室効果ガスを排出する)化石燃料が増えざるを得ない。そこを世界にどう納得してもらうかだ」と述べた。


一方でエネルギー問題では、長期的な視点での投資も欠かせない。望月氏は「かじ取りには広範な視野の下に幅広いコンセンサス(合意)が必要。関係者のご努力をお願いしたい」と期待を込めて締めくくった。


ゲスト / Guest

  • 望月晴文 / Haruhumi MOCHIZUKI

    日本 / Japan

    元経産省事務次官 / Former Vice-Minister of Economy, Trade and Industry

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

ページのTOPへ