2011年08月12日 15:00 〜 16:30 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」田中知 日本原子力学会会長

会見メモ

シリーズ企画「3.11大震災」


司会 日本記者クラブ企画委員 瀬川至朗


日本原子力学会のホームページ

http://www.aesj.or.jp/


会見リポート

教訓生かし専門家として発信を

辻 篤子 (朝日新聞論説委員)


会員数7千、原子力の専門家集団である日本原子力学会のトップに就いたのは、福島第一原子力発電所事故への対応に追われるさなかの6月のことだ。


2人の副会長らも同席した会見ではまず、今回の事故で広範囲に放射性物質を拡散させてしまったことに対し、プラント設計に携わった立場から「遺憾の意」を表明し、会長として「自ら作った壁の中で考えるのでなく、社会や他分野の専門家の声に耳を傾けていきたい」と抱負を述べた。


そのうえで、今回の原発事故への学会としての対応や今後の課題について語った。事故の教訓を今後に生かすことはもちろん、事故の記録をきちんと残すこと、そして、放射性物質によって汚染された周辺地域の環境修復が遅れていることが懸念されるとして、学会として最大限の貢献をしたいとした。


今回の事故対応をめぐっては「反省すべき点」が多々あったことも認めた。


事故直後、原子炉がいったいどうなっているのか、多くの国民が不安に思っていたとき、もっと情報があれば、専門家として分析して発信できたはずだった。しかし、情報の不足でそれができなかったことが悔やまれる、とした。


また、政府の対策本部に対しても、学会としてもっと提言すべきであったとの批判があったといい、緊急時に専門家をどう集めて対応するか、十分でなかった面もあるとして、これも反省材料とした。


社会に対する正確な情報発信のためには常日頃からメディアとの情報交換が必要だとして、勉強会を始めたという。


今回の原発事故を通して、専門家がどう貢献し、社会に対して発信していくかが問われている。今回の反省が組織としてどう生かされるのか、注目していきたい。


ゲスト / Guest

  • 田中知 / Satoshi TANAKA

    日本 / Japan

    日本原子力学会会長 / President, Atomic Energy Society of Japan

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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