2011年06月17日 16:00 〜 17:00 10階ホール
ユルゲン・トリティーン 独元環境相 記者会見

会見メモ

*冒頭発言のみ同時通訳です。右チャンネルから日本語、左チャンネルからドイツ語が流れます。

Germany: Choose a left channel

脱原発を決めたドイツのトリティーン連邦議員(元環境相・現「同盟90/緑の党」院内総務)が、脱原発と再生可能エネルギー政策について語り質問に答えた。


≪2001年に社民党・緑の党の連立政権で脱原発と再生可能エネルギーの法律を通した。10年前の決定をいま決定し直したのだ≫

トリティーン氏はドイツが脱原発政策で原発を止めることができるのは、10年の歴史があるからだ、と述べた。トリティーン氏が環境相だった社民党・緑の党の連立政権時代に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度などに取り組んだ。2001年に4%だった再生可能エネルギーが、現在は17%を占め、電力輸入国から純輸出国になったことを強調した。ドイツはフランスから原発の電力を輸入しているから国内で脱原発ができる、という日本国内での指摘について、「ドイツは大型発電所7基分に相当する電力輸出国であり、フランスは夏になると電力を輸入している」と説明した。

脱原発を決めても、原発の廃炉・解体と放射性廃棄物の最終処分の課題が残り、そうしたコストを電力料金に上乗せするなら、「原発はコストがかからない」という主張はできない、と述べた。


司会 日本記者クラブ企画委員 小此木 潔 (朝日新聞)


会見の日本語訳(ドイツ大使館作成 2011年7月5日更新)

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/06/c06d43084ac5ec34af1ec68dc20f653e.pdf


駐日ドイツ大使館のホームページ

http://www.tokyo.diplo.de/Vertretung/tokyo/ja/Startseite.html


ドイツ連邦政府ホームページのエネルギー政策のページ(英語)

http://www.bundesregierung.de/Content/EN/Artikel/__2011/06/2011-06-06-energiewende-text-breg__en.html


会見リポート

再生可能エネルギーは17%

安藤 徹 (東京新聞論説委員)

トリティーンさんは、ドイツ緑の党のシンボル的存在だ。シュレーダー社民党との連立政権時代に環境相として入閣し、公約だった原発撤退にまい進した。


「野党だったキリスト教民主同盟は相当抵抗した。今度は彼らが、10年前にすでに私たちが決定したことを決定し直すことになる」。戦闘的な論客として知られるが、党是の脱原発に民意が収斂したためだろう、口調は余裕と自信に満ちていた。


ドイツが撤退に踏み切れるのは、同時に再生可能エネルギー開発法を制定していたからだ、と強調する。総電力に占める現在の割合17%は当時4%だった。


脱原発は隣の原発大国フランスからの電力輸入があってこそ、の批判には、「ドイツは電力の輸出国でもある。電力の輸出入はトントンだ。仏とて夏場は輸出ができない事情を抱える」。


電力価格の高騰につながる、との懸念には「原発廃止によるコスト増は、1㌔㍗当たり1・5㌣(約1・7円)と試算されている。事故による補償、廃炉などを考慮した場合、原子力コストは安いと言えるのか」。


化石燃料依存に伴う温暖化への影響については、「最大の原発大国米国が、最大の二酸化炭素(CO2)排出国だ。電力浪費の例ではないか」。論客の面目躍如である。


原発をめぐる欧州諸国の立場はバラバラだ。この点、「欧州全体で2020年までに再生可能エネルギーの割合を20%までに高める拘束力のある決定がある」とも指摘し、フランスなど推進派を牽制したのが印象的だった。


10年前の脱原発法制化後は、目玉争点をなくし党勢が衰退する一時期も経験した。補償請求など経済界の抵抗も大きい。今後の道のりはなお平坦ではないはずだ。


ゲスト / Guest

  • ユルゲン・トリティーン / Jürgen Trittin

    ドイツ / Germany

    元環境相 / Former Federal Environment Minister

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