2011年06月16日 18:00 〜 19:30 宴会場(9階)
シリーズ企画「3.11大震災」 防災対策 河田惠昭 復興構想会議委員

会見メモ

復興構想会議委員を務める、関西大学社会安全学部の河田惠昭・学部長が、海岸防災施設の再構築について語った。


司会 日本記者クラブ企画委員 瀬川至朗


関西大学 社会安全学部のホームページ

http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_ss/


会見リポート

過去の復興まちづくりは失敗

渡辺 渉 (神奈川新聞報道部)

「不明者の捜索作業をやっていただいているが、遺体はほとんど見つからないと思う。津波は海底の土砂も一緒に運んでくる。その下敷きになっているから、単純には見つからない」。河田氏が淡々と説明した津波の威力。街並みを根こそぎにしたばかりか、震災から3カ月以上過ぎた今も、不明者の家族が切望する亡骸の発見を至難にしている。


「未曾有」「壊滅」「想定外」。マスコミなどで使われがちな震災を形容するキーワードが思考停止を招くとの指摘もある中、河田氏の言葉からは、ひとくくりにはできない被災地の状況から、より多くの教訓を引き出さなければならないという使命感が伝わってきた。


防潮林が跡形もなくなり、被害軽減効果のなかった陸前高田、ギネスブックに認定されていた巨大防波堤が破壊されたものの、それによって津波の力が減じられた釜石、浸水した地域と被害を免れた地域がパッチワーク状に混在する大船渡…。津波警報やハザードマップのあり方にも話が及び、出し手の論理で発信されてきた情報の限界と、その改善が一筋縄ではいかない点も強調した。


今、あらゆる立場から、津波被害を減らす手だてが探られているが、震災後に設置された中央防災会議・専門調査会の座長を務める河田氏の発言は重い。調査会の打ち出した方向性が、全国の自治体が対策を見直す上での指標となるからだ。


神戸や奥尻の例を引き合いに「復興まちづくりは全部失敗した」と言い切った河田氏。「土地所有権の売買が生じない」「(高台の造成などで)津波災害の脅威から解放される」といった復興まちづくりの〝7条件〟を挙げた。過去の反省を踏まえた意欲的な提案に違いないが、実現の難しさとともに、巨大津波が社会に与えたインパクトの大きさをあらためて痛感させられた。


ゲスト / Guest

  • 河田惠昭 / Yoshiaki KAWATA

    日本 / Japan

    復興構想会議委員

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」 防災対策

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