会見リポート
2011年06月02日
16:00 〜 17:00
10階ホール
OECD チーフ・エコノミスト 記者会見
会見メモ
English: Choose a right channel
OECDのパドアン・チーフエコノミストがOECD Economy Outlookについて説明し、大震災後の日本の経済見通しについて語った。
OECDによると、2011年の日本の実質GDP成長率はマイナス0.9%だが、2012年には2.2%成長となる。もし東日本大震災がなければ日本は2011年プラス成長だったか、との質問にパドアン氏は、「震災がなければ日本にとっていい年となっていただろう。災害のあと公共投資や民間投資で成長を取り戻す例は歴史的に多くある。日本も潜在力があるので回復するだろう」と述べた。
司会:日本記者クラブ専務理事 中井良則
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会見リポート
日本経済、「潜在力」で回復へ
大水 祐介 (時事通信外国経済部)
日本経済には潜在力がある─。東日本大震災を受けた日本経済の展望について、震災復興策などで今年後半には力強い成長を見せると述べ、楽観的な見通しを示した。
OECDは5月に公表した経済見通しで、2011年の日本の実質GDP(国内総生産)伸び率が大震災の影響でマイナス0・9%に落ち込むと予測。ただ、今年後半には反転、年率4・5%程度の成長が見込まれると分析した。12年は2・2%のプラス成長と予想する。
こうした経済見通しをまとめたパドアン氏は「大震災がなかったら、(今年は)日本経済にとって良い年だっただろう」と指摘し、日本経済は順調な回復軌道に乗っていたと主張。その上で、「大災害に見舞われた大半の国や地域はこれまで、活発な公共・民間投資によって高成長を実現してきた」と強調し、日本経済も同様に中期的には健全化するとの期待を示した。
日本の金融政策に関しては、日本のデフレは来年も続くと予想。日銀に対し、インフレ率がプラスになるまで現行の金融緩和基調を維持すべきだと提言した。
日本経済の展望をめぐっては、OECDのランダル・ジョーンズ日本・韓国課長も先のテレビ会見で「今年後半は強力なV字型の回復を見せる」と予測。震災で断絶したサプライチェーン(供給網)も「夏の終わりまでには正常化する」と楽観的な見方を示している。
ただ、震災復興の足かせと批判されている日本の政治情勢について、パドアン氏は「非常に微妙な状況で、コメントする立場にはまだない」と述べるにとどめた。政治の混迷は続いており、OECDの予測通り、日本経済が今後堅調な回復を見せるかどうかはなお不透明と見る向きもある。
ゲスト / Guest
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ピエール・カルロ・パドアン / Pier Carlo PADOAN
OECD / OECD
チーフ・エコノミスト / Deputy Secretary-General and Chief Economist