2011年06月06日 12:00 〜 14:00 10階ホール
長谷川閑史 経済同友会代表幹事 昼食会

会見メモ

2011年4月に経済同友会代表幹事に就任した長谷川閑史氏が昼食会で「成長へのコミットメント 日本復興の最優先課題としての経済成長」と題して話し、質問に答えた。

≪できない理由ばかりいっていると、日本の内向き、マイナス思考を脱却できない≫

長谷川代表幹事は、同友会の活動は「日本をいかに成長軌道に復帰させるか」に集中したいと述べ、「長年放置されてきた問題(人口減少、財政赤字、競争力低下など)」と「いまそこにある危機(大地震、大津波、原発トラブル)」が重なり、終戦直後以来の危機的状況にあるとの認識を示した。日本の経済成長戦略として、海外の成長市場、特に新興国で成長のパイを勝ち取る課題を強調した。「国と国との政策競争になっているのに、日本は大きく遅れを取っている。政治家は認識してほしい」と訴えた。

政治について、参議院のねじれが常態化し、国益を守る政策を決められない現状を放置しているのは議員の怠慢、と批判し「小異を捨てて大同につく国会」を求めた。菅首相退陣表明後の大連立をめぐる議論について「難局にあたる有効な手段だが、期限を切って暫定政権で行ってほしい」と述べた。さらに最高裁で「違憲状態」判断が出た衆院総選挙の「1票の格差」について、「いまの国会は地方の高齢者の声が過大に反映し、都会の若者が過少にしか反映されない。選挙区割りの改定が必要だ」と早急に是正するよう求めた。

司会 日本記者クラブ企画委員長 小孫 茂(日本経済新聞)

代表質問 日本記者クラブ企画委員 小此木 潔(朝日新聞)

経済同友会のホームページ

http://www.doyukai.or.jp/


会見リポート

「リーダーよ出でよ!」

一色 清 (朝日新聞WEBRONZA編集長)

ライトブルーのボタンダウンシャツに茶系のジャケット、もちろんノーネクタイ。夏近しを思わせる陽気の中、涼しげに登場した。


ただこの日の朝刊には「大連立」といった政局の大きな動きが報じられていて、集まった記者たちは、経済界の論客が政治に対してどんな見方を披露するか、熱い視線を送った。


長谷川さんの講演の大半は、「成長へのコミットメント──東日本大震災からの復興を日本改革の契機に」というビジョンの説明に費やされたが、講演でもその後の質問でも一番力が入っていたのは、今の政治の迷走について語ったところだった。


まずは「与党も野党第一党もあるべき国家像を持っていないことが基本的な問題だ」とし、一人一人の国会議員には「高い倫理観と使命感が感じられない」と批判した。


その上で、大連立については、「今の難局には有効だが、あくまで暫定的なものでないといけない」としたが、「具体論になるとなかなか落ち着かないのではないか」と実現性には疑問を投げかけた。


中でも熱く語ったのは一票の格差問題だった。3月に最高裁が前回の衆院選について「違憲状態」との判決を下したことで、「これを立法府が無視して総選挙すると、三権分立の崩壊だ。憲法裁判所を作る運動も考えなければ」とまで語り、「地方の高齢者が過大に、都市の若年層が過小に扱われるのはおかしい」と憤った。


政治への舌鋒は鋭く、発言内容も多くの人の共感を呼ぶものだったと思う。ただ一点残念に思ったのは、発送電分離についての質問に対して、「自由競争が必要だが、十電力全てに影響する問題なので」と急に切れ味が鈍った点だ。経済界の問題にも切れ味を求めたい。


サイン帳に書いた言葉は「リーダーよ出でよ!」。経済界のオピニオンリーダーは出てきた。


ゲスト / Guest

  • 長谷川閑史 / Yasuchika HASEGAWA

    日本 / Japan

    経済同友会代表幹事 / Chairman, Keizai Doyukai, Japan Association of Corporate Executives

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