2011年05月30日 13:30 〜 14:30 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」原発立地県 知事 記者会見 古川康・佐賀県知事

会見メモ

九州電力の玄海原子力発電所がある佐賀県の古川康知事が、原発立地県知事として福島第一原発事故を踏まえた対応について話した。


古川知事は、国に対し①原発の緊急安全対策で津波対策だけを行うとしているが、福島第一原発では地震動により被害が発生したのではないか②浜岡原発以外の原発は安全というがなぜか③福島第一3号機でMOX燃料を使用していたことによる影響はなかったのか――について説明を求めている、と述べた。玄海原発は1号機、4号機が運転中だが、2号機と3号機は定期検査中。福島の事故後、九州電力は2号機・3号機の発電再開の延期を発表した。全国の原発では今後、次々に定期検査が予定されており、検査後の運転再開が行われないと、2012年3月には原発の発電電力量は現在の1割におちこむという。古川知事は、政府はどう対処するのか見通しを示していない、と指摘した。


司会 日本記者クラブ企画委員 神志名泰裕(NHK)

佐賀県危機管理・広報課より 内容訂正(首都圏用)

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/05/c3c72fc5b19439dc42236eec35a109f7.pdf


佐賀県のホームページ

http://www.pref.saga.lg.jp/web/


会見リポート

再稼働という気になれない

西川 孝純 (企画委員 共同通信特別編集委員)

定期検査中の原発について「再稼働しても安全上、支障はない」という程度の説明では不十分で、不安感を解消できない─。


東京電力福島第一原発事故を受けて、原発立地県知事シリーズの1番手として会見した古川康・佐賀県知事は冒頭「立地県としての悩みと思いを伝えたい」と切り出し、県民の命と健康を守る立場から政府に対する不満と不信感をぶつけた。


九州で使われる電力の約3割が佐賀県内で生産されており、ほとんどが九州電力玄海原発での発電だ。4基のうち2、3号機は定期点検中だが「ほぼ検査を終えており、うち1基は営業運転をと思っていた矢先の福島原発事故だった」という。


地元自治体の首長や住民が不安を募らせたのは当然で、古川知事は他の立地県知事と連携して海江田万里経済産業相に安全対策を要望。その後、地震のリスクが高い中部電力浜岡原発は菅直人首相の強い要請で全面停止となったが、他の原発は緊急安全対策が適切に実施されていると判断された。


だが古川知事は「では再稼働、という気分にはなれない。各知事とも共通だと思う」と語った。そして①緊急安全対策は津波対策だけを行うこととしているが、今回の事故は津波に先行する地震動で被害が発生したのではないか②浜岡原発以外は安全だという根拠─などについて政府に明確な説明を求めている。


「原発を廃止すべきとの考えには立っていない」という古川知事は「このままでは次々と原発が止まっていくことになる」と警告する。


一方で、住宅用の太陽光発電普及やメガソーラの促進にも熱心で「今後も原発を基幹エネルギーとしていくのかどうか国民的議論が必要だ」と指摘した。原子力政策見直しに当たり、政府は立地県の訴えを重く受け止めるべきだ。


ゲスト / Guest

  • 古川康 / Yasushi FURUKAWA

    日本 / Japan

    佐賀県知事 / Governor, Saga Prefectural Government

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」原発立地県 知事 記者会見

研究会回数:0

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