2011年05月11日 14:00 〜 15:30 10階ホール
■急告■ 海江田万里 経済産業相 記者会見

会見メモ

海江田万里経産相と細野豪志総理補佐官が東日本大震災2カ月にあたる11日、記者会見し、福島第一原発事故への対処を中心に語った。


≪「浜岡原発を視察した夜中、これは一回止めるしかない、と考えた」(海江田経産相)、「東電に最初に行った時、この会社は平時の会社だと思った。有事に俊敏に動ける会社ではなかった」(細野総理補佐官)≫


海江田経産相は3月11日の震災と福島原発事故について「顔が青ざめ背筋が凍りつく感覚で、官邸で過ごした」と振り返った。「撤退とはいわなかったが、東京電力は第一原発から退避し、第二原発に移りたい、といってきた。原子炉がコントロールできないからそれは避けなければならない、と東電に乗り込んだ」と明かした。官邸地下の危機管理センターにいたが原発の情報が手に入らず、「まだるっこしい。一次情報をとれる所ということで東電本店に政府が行き、決定するようにした。これが、前へ進める理由となった」と述べた。

東電の損害賠償のスキーム作りについて「東電救済ではない。一日も早く資金を出してほしいという被災者の切実な声がある。ただリストラの条件として、現場の士気低下にならず、安全を損なってはならない。将来の発送電分離の可能性は残す」と説明した。浜岡原発の運転停止要請について、要請前日に視察した際、川勝静岡県知事が「止めるべきだ。中部電力の津波対策は付け焼刃だ」といったことを紹介し、「要請が唐突という批判は受けざるを得ないが、ああいう決め方はやむを得なかった」と述べた。

細野総理秘書官は原発事故対策の経緯を振り返りながら「この問題に政治家としてすべてをかけよう、政治家としてあかしをたてようと思っている」と述べた。「東電の情報を政府が持つという政治判断で統合対策本部を作ったのがターニングポイントだった。さらに自衛隊のヘリ放水で、この危機は乗り越えられると思えたのがもうひとつのターニングポイントだ」と指摘した。2カ月たち政府と東電の事故対処の検証を始める時期だ、と述べ「私も責任を負う覚悟はできている」と強調した。事故収拾のロードマップの改訂版を17日に出す考えを示した上で、ロードマップの障害として「1号機に続いて、2号機、3号機の(建屋の)中に入れるか。放射線を遮断して作業空間をどう確保できるかが壁となる。もう一つの壁は汚染水をどう処理するかだ」と述べた。

司会 日本記者クラブ企画委員 田崎史郎(時事通信)

経済産業省のホームページ

http://www.meti.go.jp/

海江田万里衆議院議員のホームページ

http://kaiedabanri.jp/

細野豪志衆議院議員のホームページ

http://www.goshi.org/

YouTube会見動画

会見詳録


会見リポート

二つの“ない”を強調

高橋 真理子 (朝日新聞編集委員)

細野豪志首相補佐官の会見が予定されていたところに海江田大臣が割り込んできた格好になった。大地震から2カ月の感想から始まった会見で、大臣が強調したのは二つの「ない」だった。


第一は、損害賠償支援の枠組みについて「東電救済スキーム案とよくいわれるが、私どもがつくっているのは東電を救済するのでは『ない』」。被害者をどう救うか、その人たちの損害をどう賠償するかが目的であることに理解を求めた。


第二は、5月6日に菅総理が浜岡原発の運転停止を求めたが、5日に細野補佐官と浜岡に行ったのは「止めるためといわれることがあるが、そうでは『ない』」。なるべく各地の原発を自分の目で見ようと土日を使って訪問しており、浜岡もその一環ということだった。


政府の原発賠償支援スキームは13日に決まった。東電の存続が前提となっている枠組みで、普通の感覚なら「東電救済」と受け止める。ただ、枠組みの決定文書には「電力事業形態を含むエネルギー政策の見直しの検討を進め、改革を行う」と盛り込まれた。


会見の質疑で、発送電の分離について「将来の可能性として残している」と大臣が答えたことに呼応する。東電が多額の賠償金を用意しようとすれば、価値の高い発電や送電の資産売却を考えて当然だ。そして、売却によって発電と送電を担う会社が別々になれば、電力事業形態の根本改革になる。


「かんぽの宿の売却のときの苦い思いがありますから、会計や法律の専門家たちがきちんと組んで、然るべき形で資産の査定、売却をやっていただきたい」という大臣の思いは理解できるが、根本改革は後回しにしたら進まないだろう。と、そこに菅総理の発送電分離宣言。さて?


ゲスト / Guest

  • 海江田万里 細野豪志 / Banri KAIEDA Goushi HOSONO

    日本 / Japan

    経済産業相 総理補佐官 / Minister of Economy, Trade and Industry  Special Adviser to the Prime Minister

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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