2011年04月28日 15:00 〜 16:00 宴会場(9階)
シリーズ企画「3.11大震災」佐藤滋 日本建築学会会長

会見メモ

日本建築学会の佐藤滋学長(早稲田大教授)が、震災復興とまちづくりのあり方について話した。建築学会が集めた復興まちづくりの数々のアイデアを紹介した。

司会 日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)


日本建築学会のホームページ

http://www.aij.or.jp/aijhomej.htm


会見リポート

地域の「復元力」を生かす

樋口 智幸 (日経アーキテクチュア編集)

都市計画を専門とし、「まちづくり」に深い造詣を持つ、早稲田大学理工学術院教授の佐藤滋氏。大震災の発生時に、佐藤氏が日本建築学会会長の職にあったことは、不幸中の幸いと言ってよいだろう。被災地の復興に向け、力強いメッセージと方向性を感じさせた会見だった。キーワードは地域の「復元力」だ。


同学会は4月中旬、復興にテーマを絞った「まちづくり展」を開催。連続ワークショップやシンポジウムを通して、建築分野の研究者や実務者が議論を戦わせた。併せて復旧・復興に向けた提案を広く全国から募り、130点の様々な提案が集まった。


会見で佐藤氏は、その提案の一部を紹介した。東北地方や国土のグランドデザインから構想するものもあれば、仮設住宅に関するアイデア、具体的な復興事業のスキームなど、興味深い提案の数々が披露された。


提案に通底するのは、地域の住民や文化、地形、自然などに根差したボトムアップ型の視点だ。これからの復興を担うべき30代、40代の若手研究者によるものが多かったことも心強い。提案はすべて、日本建築学会のウェブサイトで閲覧できるように準備を進めている。


震災直後、佐藤氏は甚大な被害の前に、これまで研究・実践を重ねてきたボトムアップ型のまちづくりの方法論が吹き飛んでしまったのではないかと思い悩んだという。だが、まちづくり展の議論や、実際に被災地に入って生の声に接するうちに、そうした思いは払拭された。


「地域には力がある。その力を育み、持続的な活動を促さない限り、本当の復興にはならない」。地域を主体とし、専門家や行政関係者がそれを支えるという体制の中で、地域の復元力が育まれるということだ。


佐藤氏の会長任期は5月末までだ。後任は構造を専門とする東京工業大学名誉教授の和田章氏。動きを止めることなくバトンタッチできるか、専門記者として注目していきたい。


ゲスト / Guest

  • 佐藤滋 / Shigeru SATOH

    日本 / Japan

    日本建築学会会長 / President , Architectual Institute of Japan

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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