2011年04月27日 15:00 〜 16:00 10階ホール
記者会見 千葉景子 検察の在り方検討会議座長 

会見メモ

大阪地検特捜部の厚労省局長無罪事件と証拠隠滅・犯人隠避事件を受けて法務省の「検察の在り方検討会議」座長として提言をまとめた千葉景子前法相が会見し、議論の内容を語った。


≪「検察は改革に本気になってきたと思う。あとは国民全体が厳しい目で見続け、改革をやらざるを得ない仕組みを作ることだ」≫


千葉さんは検討会議が始まった時、何も筋書きがなく、委員それぞれがさまざまな意見を出し「提言をまとめるところまでいくか、こりゃあかん、と正直思った」と振り返った。ただ、「検察が信頼される体制になるには検察自らが改革に取り組むことが必要」という共通の認識が委員にあった、と述べた。

「捜査の可視化」は主要テーマと認識し議論を重ねた。「可視化されれば(捜査に問題がなかったか)検証できるので、可視化には大きな意味がある」「提言は全面可視化を否定していない」「可視化だけでなく、弁護人の立会、保釈なしの長期拘束なども含め、抜本的な議論を早く始めることが重要だ」などと述べた。

司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)


検察の在り方検討会議の提言「検察の再生に向けて」(法務省ホームページ)

http://www.moj.go.jp/content/000072551.pdf


会見リポート

改革へ 提言はスタート台

大沢陽一郎 (読売新聞論説委員)

千葉景子氏が座長を務めた「検察の在り方検討会議」が、検察改革に向けた提言を江田五月法相に答申したのは、東日本大震災から20日後の3月31日のことだった。


組織・人事の見直しから捜査のチェック体制の構築まで、幅広い改革の処方せんを提示したものの、注目されていた「取り調べの全過程の可視化(録音・録画)」には踏み込まなかった。このため、提言に対する否定的な評価も少なくない。


そうした数々の批判は当然、耳に入っているのだろう。


「この提言はスタート台。完成品でもないし、100%のものだとも毛頭考えておりません」


千葉氏は、あくまで改革の最低ラインを示したことを強調した。


検討会議は大阪地検特捜部の不祥事を受けて発足しただけに、検察批判の急先鋒のジャーナリストや弁護士もメンバーに名を連ねた。元検事総長や元警察庁長官の委員らとの間で意見の隔たりは大きかった。


「『これはあかん』と正直思った」「『これで検討会議終わり』と何度となく言いかけた」。そんな述懐に提言をまとめる座長としての苦労がにじむ。委員たちの多様な意見の「最大公約数」ともいえる提言が、切れ味に欠ける印象を与えるのはやむを得ないかもしれない。


それでも、外部から指摘を受ける機会に乏しかった検察には重い意味を持ったようだ。当クラブでの会見の前日には、最高検が検討会議の提言に基づき、特捜部の事件の捜査を公判部など他部の検事がチェックする制度を新設すると発表した。


法相経験者でもある千葉氏は、検察に対して反省と自覚を繰り返し促すとともに、改革の成否は「国民が厳しい目で見続けられるかどうかにかかっている」と語った。


検察を監視するわれわれ報道機関の役割を改めて感じさせられた。


ゲスト / Guest

  • 千葉景子 / Keiko CHIBA

    日本 / Japan

    検察の在り方検討会議座長

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