2011年04月20日 14:00 〜 15:00 10階ホール
アッセルボルン ルクセンブルク副首相・外相

会見メモ

冒頭、東日本大震災の犠牲者に対し弔意を表した後、日・EUのFTA、欧州の原発、ユーロ、リビア問題などについて語った。

原発については、今回の震災を契機に、欧州でいろいろな議論がおきている。ドイツ、イタリアは見直しの方向へ、フランスはそのような主張は出てきていない。欧州では、原発は過渡期のエネルギーという位置づけだが、日本ではそのような認識ではないという印象をもつ。ルクセンブルクでは、80年代に原発建設を検討した時期があったが、他の道を選んだ。同時期に、(フランス国内)モーゼル川の対岸に原発が建設された。寿命を考えるとストレステストを行い、安全確認後、将来は閉鎖してほしいというのがわが国の立場だ。


司会 日本記者クラブ企画委員 高畑昭男 (産経新聞)


在日ルクセンブルク大使館のホームページ

http://tokyo.mae.lu/jp/


会見リポート

原発事故、リビアで率直な見解

池村 俊郎 (読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)

首脳級閣僚としては大震災直後の訪日一番手グループ。会見冒頭、到着した4月19日朝の成田空港の印象に触れ、「ロビーに人影がなく、その時、日本で何が起きたのか実によく理解できた」と表現した。


お国は人口約50万、広さ神奈川県ほどだが、1人当たり国内総生産(GDP)が10万㌦を超え、世界2位の富裕国。15年前、ほぼ肩を並べていた日本の、いまや2・5倍。国際金融センターとして栄え、世界的企業が欧州拠点を展開する。


原発事故とリビア情勢に関心が集まった会見では、紋切り型ではない率直な見解を表明してくれた。「わが国民は隣国フランスの原発事故を恐れている。国境に近い原発を閉鎖してほしいのが本音だが、せめてストレス・テストを早く実施してほしい」「リビア軍事作戦で、積極的な英仏と消極的な独の立場が割れたのは良くない。欧州は立場を一致させてカダフィ体制を孤立させねば」


欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)という欧州の柱となる統合、軍事同盟機構のいずれでも創始国の一つ。大国の覇権争いに翻弄された歴史を踏まえ、金融パワーを駆使して小国の声を外交に反映させる。それだけに、平和と安定のためのEU、共通通貨ユーロを軽視する意見が域内国にあるのを憂う。「もしユーロを失うのであれば、何のための欧州統合か、と問いたい」


夜間大学で学んだ元勤労学徒で、労働運動家から市長、国会議員、97年社会労働党首、04年に現連立政権で現職に。率直なもの言いは西欧マスコミ界で名をはせ、国際会議の場外でよく記者団に囲まれがちとか。


国連安保理の非常任理事国へ立候補した自国への支持を求め、大震災直後でも予定通り来日を果たした。さて、日本政府の反応は?


ゲスト / Guest

  • アッセルボルン / Jean Assleborn

    ルクセンブルク / Luxembourg

    副首相・外相 / Vice Prime Minister and Foreign Minister of the Grand Duchy of Luxembourg

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