2011年04月01日 15:00 〜 16:00 10階ホール
被災地議員 記者会見 増子輝彦 参議院議員(民主、福島)

会見メモ

東日本大震災と津波で被災し福島原発事故に直面する福島県選出の増子輝彦・参議院議員(民主党)が「被災地議員」として記者会見した。


≪「菅総理は胆力を示し、安心してほしいというメッセージを大胆に出してほしい。トップの決断、覚悟、責任にかかっている」≫


増子さんは福島原発事故について「私も経済産業副大臣として原発行政の責任者の一人だった。想定外をも想定し、安全・安心・信頼を鉄則に、といってきた。批判は甘んじて受けなければならない」と述べた。その上で、①原子力安全保安院は一度、解体し、安全チェックの新しい機関を作る②非常時・緊急時に、国・県・市町村の縦割り行政は機能しなかった。危機管理体制を立て直す③福島県民は風評被害に苦しんでいる。どう収束させるかが最大の課題だ④三つのSが大事だ。スピード(素早い政策)、スケール(大胆な政策)、セパレート(いままでの行政の仕組みから離れる)だ⑤医・食・住・E(教育=Education)の4つが緊急に必要だ――と話した。

原発行政について、国のエネルギー計画と原発計画を見直すべきだ、と述べ、「原発のスローダウンは当然だ」との考えを示した。全国の原発の安全点検を早急に行うよう求めた。

福島県では出荷停止により、収入が断たれた農家が苦しみ、自殺者も出ている一方、原発周辺地区から避難した人は着の身着のままで現金をもっていない、と報告し、現金の支給や貸付を急ぐよう訴えた。首相がトップダウンで指示すれば実現できる措置があると指摘し、菅首相の決断を求めた。


司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)


増子輝彦参議院議員のホームページ

http://www.mashikoteruhiko.com/



会見リポート

「被災地には与党も野党もない」

中井 良則 (日本記者クラブ事務局長)

現場の状況を体験し、復興に向けたアイデアをたくさん持っているはずなのに、あまりメディアに登場していない政治家がいる。大震災の被災地を選挙区とする国会議員だ。経験と提言を聞こうと「被災地議員」シリーズを企画した。


まず、原発事故で苦しむ福島県から増子輝彦参議院議員。昨年9月まで経産副大臣だった。「私も原発行政の責任者の一人だった。批判は甘んじて受ける。全国の原発の安全点検を急がなければならない」と苦しそうに語った。「菅総理は胆力を示し、トップの決断を」と繰り返し求め、与党議員なのに菅政権への歯がゆい思いを隠さなかった。


やはり福島県選出の吉野正芳衆議院議員も原発推進派だった。「最悪の場合、町が地球からなくなってしまう。体は、もう原子力なんていらないといっているのだが」。立地交付金で地元はうるおい、原発と共存する。そういうバラ色の構想が取り返しのつかない結果を生んだ無念さを感じさせた。


宮城県気仙沼で生まれ育った小野寺五典衆議院議員は本人が被災者となった。安否不明の母と弟を探しまわり、ようやく避難所でみつけた。海に出ていた弟は壁のような津波を船で突っ切って生き残った。海上に流された家の屋根につかまった人を助け上げた。それなのに、今度は海面の重油に火がついた。壮絶な実体験を聞いていると、涙が出てくる。連立や入閣をめぐる与野党のかけひきを聞かれ「被災地には与党も野党もない。遠い話です」。


3・11後、政治への信頼は損なわれた。被災者の悩みと怒りを直接知る議員が新しい政治を作りだすしかない。会見の動画はクラブのホームページから見ることができる。アクセスする価値はある。


ゲスト / Guest

  • 増子輝彦 / Teruhiko MASHIKO

    日本 / Japan

    参議院議員(民主、福島) / Member, House of Councillors

研究テーマ:被災地議員 記者会見

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