2011年03月25日 15:30 〜 16:45 宴会場(9階)
【急告】ゲオルギエヴァ EU人道援助担当委員 記者会見

会見メモ

欧州委員会のゲオルギエヴァ国際協力・人道援助・危機対応担当委員が欧州から日本への支援のためEUを代表して来日し、記者会見した。


≪「日本がこれまでの天災に見舞われた時がそうであったように、日本が復活すると確信しています」≫

各国政府の閣僚にあたるゲオルギエヴァ委員はまず「日本への友情と結束の意を表したい。日本が災害から立ち直り復活すると確信している」と述べた。この日、日本赤十字社を訪れ1000万ユーロを寄付し、26日には茨城県北茨城市やつくば市の避難所を訪れ、欧州諸国からの援助物資を手渡す予定。

日本政府はEUが欧州諸国の支援を調整するよう求めており、日本側が具体的に要請する物資を支援する体制を作るという。今回は毛布、マットレス、寝袋を欧州から届けた。日本からは飲用水、発電機、缶詰の要請が来ている。

ゲオルギエヴァ委員は、世界中で自然災害の回数や重大さが増え、人口増や都市化により災害が社会にもたらすコストも増大している、と説明。2010年は世界で自然災害が950件を数え、ハイチ、チリ、中国の地震、パキスタンの洪水、ロシアの森林火災と5件のメガ災害があったと述べた。こうした災害への対応や再興、教訓を得る力を強める必要性を指摘した。


司会 日本記者クラブ事務局長 中井良則

通訳 友田真理


駐日欧州連合(EU)代表部のホームページ

http://www.deljpn.ec.europa.eu/


会見リポート

70㌧の救援物資とともに来日

脇阪 紀行 (朝日新聞論説委員)

東日本大震災の被災者支援のため毛布、寝袋など70㌧の救援物資の到着に合わせて来日。会見ではまず「欧州の友情と結束の思いを示すためにやって来ました」と語った。


日本は大震災に大津波、そして福島原発事故という「三重の災害」に見舞われた。到着後まっさきに日本赤十字社を訪れた際、東北地方の被災地でいまだに多くの人の行方がわからず、孤立している集落があると聞き、改めて被害の大きさと広がりに驚いたという。


母国ブルガリアの大学の教壇に立っていたが、40歳で世界銀行に転身、環境局長や副総裁をつとめた後、昨年2月、人道援助と危機対応を担当する欧州委員に就任した。

会見で印象的だったのは、福島原発事故についての意見を聞く外国人記者への答えだった。外国で起きた事件や事故が、ともすれば過大に日本に伝えられることがあるが、原発災害で同じことが起きているのだろう。海外での「フクシマ危機」報道の悲観的なのに驚かされる。


外国人記者から「日本側の情報発表の遅れや混乱を直すためにIT技術の支援をすべきと思うか」と突っ込まれると、ゲオルギエヴァ氏は「日本は災害への備えを十分やってきた国。そんな国でさえ手を焼くほど、この災害は複雑で規模が大きいのだ。我々も多くの教訓を得ることができるはず」と冷静な口ぶりで答えたのは、さすがであった。


日本が海外から大規模援助を受けるのは、関東大震災と戦後の復興期以来のことだろう。欧州からは英仏独伊、スイスの救援チームが現地で活動している。


欧州連合(EU)の人道援助局は、27の加盟国の援助の調整を担っている。委員と共に「市民保護チーム」の専門家15人が来日した。援助する側も、援助される側も共に初めての経験だ。


ゲスト / Guest

  • クリスタリナ・ゲオルギエヴァ / Kristalina GEORGIEVA

    EU / EU

    人道援助担当委員 / Commissioner for International Cooperation, Humanitarian aid and Crisis Response

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