2011年02月17日 15:00 〜 16:00 宴会場(9階)
広瀬勝貞 大分県知事

会見メモ

九州地方知事会長を務める広瀬勝貞・大分県知事が九州7県で設立を進めている「九州広域行政機構(仮称)」について、その概要と「広域行政機構法(仮称)の骨子(案)」を初めて示し、平成26年度スタートを目標にしていることを述べた。


≪「出先機関の仕事を分けて考えるのではなく、出先の仕事を丸ごと受け入れる方式だ」≫


広瀬知事は、地方の枠組みについて「明治の廃藩置県以来、これまで国が枠組みを決めてきたが、いまは自分たちで考える機会だ」と述べ、意気込みを示した。メリットは、①決定権が大臣から知事会に移り決定が迅速、円滑に進むようになること、②これまで国の決定では効かなかった住民によるガバナンスが効くようになること、③二重行政の無駄をなくすこと。機構の組織として、合議制の知事連合会議と議会代表者会議を設置することや、8府省15系統の国の出先機関の廃止などの具体案を述べた。


この日に開かれる地域主権戦略会議のアクションプラン推進委員会で発表する予定の「広域行政機構法(仮称)の骨子(案)」を初公開。「全国どこでも使える一般法」としてつくられている。「関西広域連合」などの動きにも触れ、「現在国がもっている仕事を新しくやる」のが広域行政機構で、それぞれの自治体がもっている仕事を持ち寄る広域連合との違いを示した。

財源については、「国はこれまで通り確保するべき」として内閣総理大臣への予算要求もできることを想定している。

資料①

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/02/11fc0476734f28846d26fbcd9358642e.pdf

資料②

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/02/1d9a256f7c62f5a90fd92edff0e5053b.pdf

地域主権戦略会議のホームページ

http://www.cao.go.jp/chiiki-shuken/kaigi/kaigi-index.html

大分県のホームページ

http://www.pref.oita.jp/


司会 日本記者クラブ企画委員 菅沼堅固(東京新聞)


会見リポート

期待と焦燥 九州広域行政機構

山本 敦文 (西日本新聞東京支社編集部)

九州は独立論が盛んな地域だ。地域主権改革を打ち出した民主党政権の登場は千載一遇のチャンスだが、政権そのものの雲行きは怪しくなるばかり。九州を突き動かしているのは「今度こそ」という期待と「今を逃せば」という焦燥だろう。


九州地方知事会長の広瀬勝貞大分県知事が「九州広域行政機構」構想を語ったこの日の会見にも、政治への期待と焦燥がにじむ。


興味深かったのは、出先機関の権限も予算も人員も機構が丸ごと受け入れる理由について「(出先機関ごとに国と地方の仕事を区分する)議論を始めると時間がかかり挫折する」と力を込めた点だ。宮沢政権末期の1993年、国会が「地方分権の推進に関する決議」を可決して18年。過去の地方分権論議が骨抜きにされた原因は、官僚と、それに結び付く政治家や業界団体の抵抗が大きい。そのことを元経済産業省事務次官の広瀬知事は実体験として知っている。


思いは同じ九州人としてよく理解できる。ただ、期待と焦燥に裏打ちされた論議は拙速に陥りがちだ。例えば執行機関として想定する、知事の合議制による「知事連合会議」。こうしなければ九州7県の同意は得にくいという判断だろうが、各県を代表する知事が集まり、利害を調整して九州全体を俯瞰した大胆な政策を打ち出すことは可能なのか。ただでさえ忙しい知事たちが各県議会で答弁し、さらに広域行政機構の議会に対応できるのか。やはり知事とは別に、機構のトップを選ぶ制度を考えるべきだろう。


九州は関西と並び、出先機関改革のトップランナーに躍り出た。だからこそ、腰を落ち着けた論議をしてほしい。焦ることはない。たとえ政権が代わっても、国から地方への権限移譲はもう後退できないはずだ。


ゲスト / Guest

  • 広瀬勝貞 / Katsusada Hirose

    日本 / Japan

    大分県知事 / Governor, Ooita Prefecture

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