2011年02月14日 14:00 〜 15:00 10階ホール
谷垣禎一 自民党総裁

会見メモ

谷垣禎一自民党総裁が記者会見し、菅政権との対決姿勢を強く打ち出した。


≪「自民党は消費税10%を公約に掲げたが、民主党はマニフェストでいっていない。解散でリセットして、総選挙後、負けた方は足を引っ張らない、ということで進めるのが早道だ」≫


谷垣氏は、「平成23年度予算は形をつけたとしても、24年度予算は果たして組めるのか」と疑問を呈した。民主党のマニフェストは①財源が捻出できない②財源を新しい政策だけに使う③社会保障の自然増にどう対応するか考えていない――という欠陥があり「基礎が破たんしている」と批判した。総選挙で民主党が勝っても、自民党が勝っても参議院のねじれは残るが「正統性を確保しないと増税は進まない」と述べ、菅政権が国民に信を問うことを求めた。

自民党政権時代に多額の国債を発行した責任を問われると「自民党政権で発生したのだから責任は持つべきだ。ただ、その時の問題を乗り切るため赤字国債でまかなったのはやむを得ない面もある。国債は麻薬みたいなものだが、財政均衡を目指さなければならない」と答えた。「自民党支持層には消費税増税が必要という人が増えているが、民主党支持層はまだ消費税アレルギーが強いようにみえる。その意味では、民主党に消費税増税をいわなければならない菅さんは、私よりリスクを負っている。菅さんはきついだろう」と菅総理の立場を推し量った。

自民党の支持率が回復しない理由を聞かれ「古びた自民党ではなく新しさを感じてもらう努力が必要だ。地味なことを着々とやるしかない。私個人のイメージやカリスマ性が足らないといわれれば、自分でも十分ではないと思う。しかし、大阪や愛知でみられる化け物的人気が果たしてバランスがとれているのか疑問だ。不満に火をつける人はたくさんいるが、議論をもっと重ねることが必要だ」と答えた。


司会 日本記者クラブ企画委員 西川孝純(共同通信)


自民党のホームページ

http://www.jimin.jp/index.html


会見リポート

シンシな野党党首の展望は?

松下 秀雄 (朝日新聞論説委員)

シンシな人だと、改めて思った。真摯。紳士。どちらも当てはまる。


社会保障と税制の一体改革について、これから菅直人政権がまとめる案と、自民党の案は「ほとんど違わないだろう」。


国会での与野党対立については、「もっと政策論を戦わせよというご意見は非常に強い」と語った。


その通りだと思う。


じゃあ、いまの不毛な対立は何なのか。つっこまれるのは必至の発言をあえてする。


並みの野党党首なら、本音であったとしても口にしなかったのではないか。無理な強弁をせず事実は事実として認めるのは、好感を抱くところだ。閉塞の時代に出てきやすい、対立をあおり不満に火をつける政治家より、よほど良質だと思える。


それでも野党の党首である。会見の論旨はつまり、民主党のマニフェストは破綻しているから、衆院を解散せよということだった。


そこは、すとんと落ちない。


解散に追い込むと言ったって、支持率低迷の政権が崖から飛び降りるか。そう簡単ではないことは、自公政権の末期に実証済みじゃないか。


それでも踏み切らせようと強硬姿勢を続ければ、暮らしに悪影響が及びはしないか。もし首相が応じなければ、2年半ある衆院議員の残り任期、角突き合わせて政治を停滞したままにしておくのだろうか。


そんなこんなを考えていると、やはり「何のために解散を求め、どんな展望を持っているのか、伝わってこない」という質問が出た。


答えは、民主党が消費増税などを掲げて総選挙を戦い、正統性を得ようとしない限り、このような大きな問題は「それでは動かない」。


一つの理屈だとは思いつつ、やはりどんな展望があるのか、もやもやは晴れなかった。


ゲスト / Guest

  • 谷垣禎一 / Sadakazu TANIGAKI

    日本 / Japan

    自民党総裁 / President, Liberal Democratic Party (LDP)

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