2011年01月20日 15:00 〜 16:00 宴会場・レストラン(9階)
片山善博 総務大臣

会見メモ

片山善博総務相が記者会見し、「地域主権改革の現状と今後」について語り、質問に答えた。


≪「レスラーがリングを降りて観客と一緒になって場外乱闘している。リングで戦わなければ」(河村たかし名古屋市長について聞かれて)≫


片山総務相はまず、地域主権戦略大綱にもとづく改革として、①一括交付金②国の地方出先機関③基礎的自治体への権限移譲④地域主権改革3法案――を説明した。出先機関の権限移譲では、九州の国交省地方整備局を九州各県が受け皿として作る九州広域行政機構に移譲する話しあいを始めた。関西広域連合への移譲については、「(現状では加入していない)奈良県が広域連合に入ればすんなりと移管できる。九州より先にできるかもしれない」と述べ、奈良県の加入に期待を示した。

これまで「無視ないし先送りされていた課題」だが総務相として取り組むテーマとして①住民自治の強化②地方税制③総務省の関与――の3点をあげた。特に「地方議会は信頼できるか」と疑問を投げかけ、老若男女を代表すべきなのに、現状は「老・男」だけだ、と批判した。首長の根回しで議会が籠絡され、可決率100%という状況ではチェック機能が不十分だと強調し、議会の強化・改革が必要と述べた。首長が組織する新しい地域政党についても、「首長が多数派を形成し議会を通すのは、結論において(根回しと)同じだ」と疑問を呈した。名古屋の河村たかし市長についても、「私だったら、議会で自説を述べ説得した。マスコミで報道され市民が考えるだろう。意見の対立があっても、選挙により議会に変化を及ぼす。名古屋が真剣な議論をやったのだろうか。リングから降りてしまったのではないか」と述べ、批判した。

司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)


総務省のホームページ

http://www.soumu.go.jp/index.html



会見リポート

住民自治なくして分権改革なし

青山 彰久 (読売新聞編集委員)

気がつけば、たなざらしにされつつある菅政権の地方分権改革だが、そこにどこまで喝を入れられるか。自治省から鳥取県知事、慶大教授と歩んだ知恵を見込まれ総務相に就任した。それから4カ月、権限移譲などと並ぶ地方分権のもう一つの柱の自治体政治改革に熱弁をふるった。

「自民党時代にも民主党政権になってからも無視されたり先送りされたりしてきたのが住民自治の強化だった。この仕組みを具現化したい」

こう切り出して掲げたのが、大規模施設の建設などを事前に住民に問う住民投票の創設、減税も住民から要求できるようにする直接請求制度の拡充、根回しばかりの議会を変える地方議会の改革。いずれも「自治体はだれの意思に基づいて運営されるのか」という片山流の構想だ。

批判の矛先を全国知事会や総務省にも向けて「知事たちは自分がもっと住民に監視されやすくしてほしいといってきたか」「直接請求の対象から税を除いてきた国の方針(の根底)には(住民を信用しない)愚民観があった」とばっさり切り、「住民意思が反映され、議会が住民に信頼されなければ、地域主権は根幹から怪しいものになる」と強調した。

首長と議会でつくる二元代表制の核心は「相互チェックと権力の分立にある」というのが片山理論。橋下徹・大阪府知事の首長新党には「首長支持の多数派形成にすぎない」と異論を唱え、河村たかし名古屋市長の議会解散リコール運動にも「プロレスでいえば、リングからさっさと降りて観客と一緒にリング上のレスラーを批判した」と苦言を呈した。

それにしても分権改革が進まない。「民主党政権と最後までつきあうのか」と聞かれて、「リングを下りろと言われれば別だが、そうでなければ全力でやる」と締めくくった。

ゲスト / Guest

  • 片山善博 / Yoshihiro KATAYAMA

    日本 / Japan

    総務大臣 / Minister for Internal Affairs and Communications

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