2011年01月31日 14:00 〜 15:30 10階ホール
斉藤惇 東京証券取引所グループ社長 研究会

会見メモ

斉藤惇・東京証券取引所グループ社長がシリーズ研究会「2011年経済見通し」で「日本株は甦るか」のテーマで話し、質問に答えた。


≪「チャレンジして失敗した人を日本では完膚なきまでたたく。むしろ、失敗してもチャレンジした人を称賛すべきだ」≫


斉藤氏は東京証券取引所の現状について、一日平均売買高や売買代金がいずれも高いデータを紹介し「取引量はあるのに、株価が下がっているため、時価総額は上がらない」構図を説明した。外国の証券取引所との比較では、新規上場の件数や資金調達で香港や深センの市場が急拡大していることを指摘した。日本株への投資状況では外国人投資家の投資が多く資金流入しているのに対し、日本人投資家は海外株式に投資し、資金流出となっている、という。東証の売買に占める比率をみると、国内の機関投資家は10%以下、個人投資家は30%以下なのに対し、海外投資家は60%を上回っている。

こうした市場の実情を踏まえた上で、斉藤氏は「TPPは起死回生となり世界は日本を見直すだろう」と日本のTPP参加に期待を示した。日本が悲観主義に陥らず、若者を励まし、チャレンジ精神をもっと評価するよう呼びかけた。


司会 日本記者クラブ企画委員 原田亮介(日本経済新聞)


東京証券取引所のホームページ

http://www.tse.or.jp/index.html


会見リポート

地盤沈下に悲観せず

八牧 浩行 (時事通信出身)

「日本株は甦るか」がテーマだったが「株価を予測する場ではない」とくぎを刺し、世界における東証の地盤沈下ぶりを率直に披歴した。昨年、1日平均売買高、株式新規公開(IPO)などが上海、香港をはじめとする新興市場を大きく下回り、「株価指数は1990年を100とすると東証は現在34。上海の2098、インドの1931はおろか、ニューヨークの462、ロンドンの253に比べても桁が違う」と嘆いた。


日本は税金や規制など投資リスクが高いわりに成長率が低いと指摘した上で、「日本企業はニーズをつかむ市場リサーチが不得意で、韓国、中国の競争相手に負けている。日本の技術水準が高いというのも神話であり、教育にもっと力を入れるべきだ」と苦言。会場から「株価は甦らないとはっきり言うべきでは」との質問?も飛び出したが、最後は「日本だけが地獄を見ることはない。中国も10年後には労働力不足に陥る。一番大事なことは悲観的にダメだと言わないこと」と強く反論した。

ゲスト / Guest

  • 斉藤惇 / Atsushi SAITO

    日本 / Japan

    東京証券取引所グループ社長 / President & CEO, Tokyo Stock Exchange Group

研究テーマ:2011年経済見通し

研究会回数:0

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