2010年12月08日 16:15 〜 17:15 10階ホール
エボ・モラレス・ボリビア大統領

会見メモ

ボリビアのエボ・モラレス大統領が記者会見し、リチウム開発などについて語った。


モラレス大統領は、外国からの投資について、資源の所有主ではなく資源を大事にするパートナーとしての投資を求める立場を説明した。世界の関心が集まるウユニ塩湖のリチウム開発について、2011年にリチウム抽出技術を確立したあと、リチウム電池の生産を始め、いつかは電気自動車をボリビアで作るのが夢だ、と語った。日本の自動車メーカーの名前をあげ、ボリビア・日本の連携に期待を示した。こうした資源開発を通し、ボリビアも地球温暖化の防止に貢献したいとの考えを述べた。

司会 日本記者クラブ副理事長 宇治敏彦(東京新聞)


在ボリビア日本大使館のホームページ

http://www.bo.emb-japan.go.jp/jp/index.htm


会見リポート

リチウム資源大国の勝負どころ

市川 亮太 (時事通信外信部)

「われわれが求めているのは資源のオーナーではなく、ボリビア発展のためのソシオ(共同経営者)だ」─。モラレス大統領が記者会見の中で何度も繰り返した「ソシオ」という言葉に、ボリビアの苦悩と大統領の並々ならぬ決意が垣間見えた。

世界有数の鉱山資源国ながら、スペイン植民地時代から外国政府や海外資本に富を収奪され、南米最貧国に甘んじてきた歴史を顧みれば、世界最大のリチウム資源埋蔵が判明した今が国の浮沈を懸けた勝負どころ。会見では「セールスマン」に徹し、リチウム鉱床共同開発の条件としてボリビア国内へのバッテリー産業誘致を挙げ、先進リチウム技術を持つ日本企業に秋波を送った。


会見後の菅直人首相との首脳会談では、リチウムの開発や産業化に共同で取り組むことで合意。技術協力や人材育成のほか、地熱発電所建設のための円借款供与などを盛り込んだ共同声明に署名するなど、大統領にとって3度目の来日は実り多きものとなったようだ。


筆者はモラレス氏が初当選した05年12月の大統領選をラパスで取材したが、一握りのスペイン系白人が支配してきたボリビアで初の先住民大統領、しかも当時国の経済を左右していた外国資本に真っ向から対立する姿勢に、国の先行きへの不安を感じたものである。しかし、外資や富裕層と火花を散らして対峙しながら、国民に約束した天然資源や基幹産業の国有化、先住民の権利拡大、経済発展を着実に成し遂げる「実行力」は、他の南米諸国や極東の某島国の指導者と比べても際立っていると言えよう。


会見で発した「独立時から指導者が真剣な努力を惜しまなければ、現在のように海外からの投資を待つことはなく、今頃は海外に進出していただろう」との言葉に、国の現状への歯がゆさと、自信が入り交じった複雑な感情が感じられた。


ゲスト / Guest

  • エボ・モラレス / Juan Evo MORALES Ayma

    ボリビア / The Plurinational State of Bolivia

    大統領 / President

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