会見リポート
2010年10月18日
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アレイダ・ゲバラさん
会見メモ
アレイダ・ゲバラさんはチェ・ゲバラ研究センター(Centro de Estudios Che Guevara)コラボレーターとして、チェ・ゲバラの活動や著作の資料を調査し公表している。キューバの現状について、米国の経済封鎖を批判する一方、キューバの人々が尊厳を持って暮らすため、社会主義を支持する意思を持っていると述べた。質疑応答では、米国のオバマ政権について「初の黒人大統領として期待は大きかったが、そのようにはなっていない」と失望感を隠さず「キューバ人に恐れを抱かず、隣人として尊重する政府であってほしい。自分たちの社会とは異なる社会モデルの国としてキューバを受け入れてほしい」と述べた。チェ・ゲバラの思い出を聞かれ、ゲバラが1959年、訪日した時、広島から家族に送った絵葉書に「革命家ならこの地を訪ねるべきだ」と書かれていたことを話した。また、1965年、ゲバラがコンゴから変装して帰国し、子どもたちにも「チェの友達だ」と身分を偽って会った時、転んで頭を打ったアレイダさんをやさしく介抱してくれた記憶を話し、「この人は私に恋しているみたい」と母親に耳打ちした、と振り返った。
司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)
通訳 丸山啓子
在日キューバ大使館のホームページ
http://embacuba.cubaminrex.cu/Default.aspx?alias=embacuba...
ハバナのチェ・ゲバラ研究センターのホームページ(スペイン語、チェ・ゲバラの著作や年譜などを公開している)
http://www.centroche.co.cu/centroche/index.php
会見リポート
「英雄の娘」の気負いなし
小西 大輔 (共同通信外信部)
革命後に社会主義路線を取ったキューバに対して米国は約半世紀にわたり経済制裁を続けており、世界的な不況も相まってキューバは経済的に困窮状態にある。米政府はキューバと取引する他国の企業にも制裁を科しており、アレイダさんは「どこの国と貿易をする、しないは米国の権利だが、許せないのはそれを他の国にも強いていること」と憤る。
融和的な外交政策を取るオバマ政権が誕生して“チェンジ”を期待する声がキューバ側にあったという。しかしアレイダさんは「変化はなかった。隣国の異なる文化や生活様式を恐れずに受け入れてくれる大統領が就任するのを待つしかない」と手厳しい。
父の思い出では、66年にボリビアに旅立つ前に外国人の友人として変装して子どもたちに会いに来たという有名なエピソードが本人の口から語られた。また59年に来日したゲバラが、日本人の生産性の高さを称賛する文章を書き残していたことも紹介された。
残念だったのは、北朝鮮の日本人拉致問題やノーベル平和賞受賞が決まった中国の劉暁波氏の拘束に質問が及んだとき「双方の意見を聞かなければ」と歯切れが悪くなったこと。ともに友好国であり、国内に反体制派を抱えるキューバの関係者にとって答えにくい質問であったことは間違いないが、一個人としての率直な意見を聞いてみたかった。
ゲスト / Guest
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アレイダ・ゲバラさん / Dra. Aleida Guevara March