2010年09月01日 00:00 〜 00:00
村山富市・元首相

会見メモ

村山富市元首相がシリーズ研究会「消費税はなぜ嫌われるのか」④で、1994年の消費税引き上げ税制改革の成立を振り返り、質問­に答えた。

村山元首相(首相在任1994年6月30日―1996年1月11日)はまず、細川政権が深夜の会見で打ち出した「国民福祉税構想­」について、与党首脳会議で「無理だ。事前に議論もない」と反対したことを説明。「ただ、国民福祉税はつぶれたが間接税を上げる­べきだとの意見があった」と振り返った。首相になったあと、中間層を対象にした減税をうちだし、財源として消費税率を3%から5­%に引き上げる税制改革法が成立した経緯を説明した。
菅直人首相の参議院選挙での「消費税10%発言」について「確信と自信があって、責任をもって実現する腹構えがあっていうならい­いが」と苦言を呈した。5%への引き上げ後、税率アップが実現しないのはなぜか、と問われて「切実感がないからだろう」と答えた­。小沢一郎氏については「あまり話したことない。食事をしたこともない。論評の限りではない」と語り、日米安保条約については「­ゆくゆくは平和条約にするとか見直しがあってもいいのではないか」と述べた。

司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)

首相官邸ホームページにある村山富市首相のページ(演説や談話のテキスト資料)
http://www.kantei.go.jp/jp/murayamasouri/index.html

会見リポート

必要性とことん訴えよ

西川 孝純 (共同通信特別編集委員)

研究会「消費税はなぜ嫌われるのか?」の4番手で登場願ったのは村山富市元首相。「私は記録を一切取っていないので…」と言いつつも、86歳とは思えない張りのある声で往時の出来事を丁寧に語った。

ポイントの一つは1994年2月、細川護煕首相が発表した国民福祉税構想への社会党の対応。当時社会党委員長だった村山さんは「政府の責任で発表するならやむを得ない」と発表自体は了承していたという周囲の見方をきっぱり否定した。

「いきなり細川さんが名称を変えて7%の数字を出すのは乱暴すぎた。事前に相談もないのに賛成できるわけがなかった。党出身の大臣6人が集まって『強行するなら連立離脱』を確認した」と証言した。

その村山さんが羽田内閣の崩壊後に「思ってもみなかった」首相に就任し、自社さきがけ連立政権は94年9月、減税の3年先行実施などを条件に消費税率の5%への引き上げを決定。引き上げ実施は橋本内閣当時だったが、消費税反対を掲げて当選した社会党の参院議員が改選を迎えた98年参院選では「6年前とは状況が変わった。自信を持って戦え」と激励したという。

以来、現在まで消費税は5%に据え置かれたままだ。菅直人首相が参院選前に引き上げに言及したことについて、村山さんは「選挙で首相が言うからには、よほどの自信と腹構えが必要。確信もなく言ったのはうかつだった」と批判した。

一方で「増大する社会保障費を考えれば税率も変動せざるを得ないのではないか。老後の安心や若者世代の負担軽減など必要性をとことん訴えていけばいい」とも語った。

社民党の現状が心配なのだろう。「社会民主主義的な考え方は歴史的にもあってしかるべきだ。労組も本気で労働者の権利獲得に動くべきだ」と語って会見を終えた。

ゲスト / Guest

  • 村山富市 / Tomiichi Murayama

    日本 / Japan

    元首相 / Former Prime Minister

研究テーマ:消費税はなぜ嫌われるのか

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