2010年09月08日 00:00 〜 00:00
ゴルダン・ヤンドロコビッチ・クロアチア外務・欧州統合相

会見メモ

クロアチアのゴルダン・ヤンドロコビッチ外務・欧州統合相が記者会見し、クロアチアの外交政策や欧州連合(EU)加盟交渉の進展­について語り、質問に答えた。

ヤンドロコビッチ外相は、1991年に独立したクロアチアが2009年、NATOに加盟し、EUへの加盟交渉も最終段階に入って­いると説明した。33分野にわたる加盟交渉は22分野がすでに決着したと述べ、2011年前半には加盟協定に合意できるとの見通­しを示した。旧ユーゴ紛争の和解が進んでいることを強調し「ミロシェビッチの大セルビアのイデオロギーによる侵略が戦争の理由だ­った。内戦ではない」と述べた。日本との関係では、政治・経済が安定し、欧州の交差点に位置する地の利を説明し、日本企業の投資­を呼びかけた。2009年、16万人の日本人観光客がクロアチアを訪れたことをあげ、関係進展に期待を示した。
司会 日本記者クラブ企画委員 高畑昭男(産経新聞)
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)

日本外務省ホームページにあるクロアチアのサイト
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/croatia/index.html

クロアチア政府外務欧州統合省のホームページ(英語)
http://www.mfa.hr/MVP.asp?pcpid=1612

会見リポート

NATOで14のミッションに参加

長戸 雅子 (産経新聞外信部次長)

首都中心部の落ち着いたたたずまいと吸い込まれるように蒼いアドリア海の絶景。人口わずか440万人のこの国には毎年、500万人を超える観光客が訪れる。それは美しい観光資源だけでなく、平和と安定があることの証拠だ。しかし、この平和を手に入れるまではこの国もまた過酷な試練を経なければならなかった。しかもその試練の記憶はまだ新しい。

「ユーゴ紛争の後、クロアチア人は半分に減ってしまいました」。会見で終始にこやかな表情を崩さなかったが、この場面では顔を曇らせた。セルビア系など国内の少数民族
との融和政策は今も大きな課題だ。

向けられた質問もその苛烈な歴史を避けては通れない。ユーゴ紛争では兵士だけでなく、女性にも筆舌に尽くしがたい敵意や暴力が向けられた。それは「オスの本能、男の論理が発揮されたからであり、21世紀になって、男の論理は捨てようということが共通認識になっているのではないですか?」との問いに、クロアチアの現首相は女性であることを改めて紹介し、「すべての問題は女性の本能をもって解決することが必要かもしれないという考えに同意いたします」と笑顔で返した。

民族、地域紛争という重い経験から生まれた決意なのだろう。積極的な国際貢献活動を展開しており、アフガニスタンをはじめ、国連や昨年加盟を果たしたばかりの北大西洋条約機構(NATO)の枠組みで14ものミッションに参加している。

当面の国家目標である欧州連合(EU)加盟が「戸口のところまで来た」と喜びつつ、「私たちは地域のことを決して忘れません。地域の各国が加盟できるよう経験や知識を分かち合っていきたい」と何度も繰り返した。使命を自覚する国家の強さを感じた。

ゲスト / Guest

  • ゴルダン・ヤンドロコビッチ / Gordan Jandrokovic

    クロアチア共和国 / Republika Hrvatska

    クロアチア外務・欧州統合相 / Minister of Foreign Affairs and European Integration, Croatia

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