2010年08月10日 00:00 〜 00:00
野田毅・衆院議員・自民党税制調査会長

会見メモ

シリーズ「消費税はなぜ嫌われるのか」2回目は、中曽根政権の「売上税断念」と竹下政権の「消費税成立」について、野田毅・衆議­院議員が当時のいきさつや教訓を語った。

野田さんは冒頭、参院選で自民党が消費税10%の公約を打ち出したことについて、「財源なき歳出を続けたことは自民党にも責任は­ある。消費税は本来なら15%だが、当面ということで10%にした」と説明。菅首相の反応について「たぶん、自民党案にのるだろ­うとみていた。消費税に政権を賭けるといえば、選挙結果はどうなるかわからなかった。ただ、予測通り、迷走してしまった」と述べ­た。
中曽根政権の売上税国会やその後の竹下政権の消費税にかかわった経験を語り、消費税で成果を上げるには「リーダーの覚悟」「党内­と国民を説得する準備」の二つが欠かせないと教訓を示した。
質疑応答では「6年前の参院選で岡田民主党が消費税引き上げを主張した時に、小泉首相も声をあわせて引き上げをいうべきだった」­「来年度予算は基礎年金の国庫負担引き上げがあり、民主党政権は予算編成でのたうちまわるだろう」「自民党は火薬庫の上で昼寝し­ていたが、民主党は火薬庫の上で財源なきバラマキというダンスを踊っている。あと3年で火薬庫は爆発する」「国会のねじれより、­民主党内のねじれが菅さんの最大の問題だ。だれが主導権をとっているのかはっきりしない」と述べた。

司会:倉重篤郎・日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

野田毅・衆議院議員のホームページ
http://www.nodatakeshi.com/


会見リポート

消費税協議 試される野党の力量

有光 裕 (読売新聞東京本社経済部)

「自民党時代は火薬庫の上で昼寝をしていたが、民主党時代になってダンスを始めた。さらなるバラマキをしようとしており、非常に危険な状況だ」

自民党で税制調査会長を務める野田毅氏は冒頭、財政赤字を増やした過去を率直に反省しながら、新政権が始めた子ども手当などが一段と財政を圧迫していると警鐘を鳴らした。

「団塊の世代」の高齢化で膨らみ続ける社会保障費。その財源は消費税を抜きに考えにくい状況だ。

7月の参院選で、民主、自民党は消費税の引き上げに言及した。菅首相の唐突な表明や選挙戦での発言のぶれで民主党は敗れたが、「当面10%」を掲げた自民党は勝利した。

消費税論議の教訓として野田氏は「リーダーの不退転の覚悟だけでなく、周到な準備、党内をどう引っ張り、国民をどう説得するかという手順が絶対に不可欠だ」と強調した。

売上税実現を目指した中曽根内閣と消費税を導入した竹下内閣を振り返り、野田氏は、中曽根内閣では首相の発言がぶれて党内の造反や野党の徹底抗戦を招いたが、竹下内閣は派閥の領袖をまとめ、野党対策にも余念がなかったと明かした。

参院選後、民主党内では財政再建路線が失速し、9月代表選を前に方向性が定まらない。菅首相は消費税を含む税制抜本改革で超党派協議を呼びかけたが、野田氏は「民主党が右左に分かれていて、どうして我々が協議できるのか」と批判した。

一方、野田氏は2011年度予算の編成作業で財源確保が大きな問題となり、「必ず年内に(民主党と財政再建や消費税問題などを)すり合わせないといけない場面が出てくるに違いない」との見方も示した。

衆院と参院で多数派が異なる「ねじれ国会」が続くなか、消費税を政争の具とせず本格的な協議に入れるか。野党・自民党の力量も試される。


ゲスト / Guest

  • 野田毅 / Takeshi NODA

    日本 / Japan

    衆院議員・自民党税制調査会長 / a member of the House of Representatives;the chairperson of LDP's Tax System Research Council

研究テーマ:「消費税はなぜ嫌われるのか?-死屍累々の教訓

研究会回数:0

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