会見リポート
2010年07月28日
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G.L.ピーリス・スリランカ外相
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民族和解、介入拒否を明言
岩田 智雄 (産経新聞外信部)
多数派シンハラ人と少数派タミル人の民族紛争から発展した内戦が、昨年5月に終結したスリランカ。タミル人反政府武装組織タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)を壊滅させた軍事作戦では多くの市民が犠牲になったとされ、国際的な調査委員会を設置すべきだとの声が国際社会で挙がっていることに、「明確に拒絶したい」と言明した。
すでに独自の調査委員会を設けていて、調査に「国際機関が関与する理由はない」と、あくまで自国内で問題を処理できると主張した。
民族融和は達成されるのかとの心配についても「(LTTEの拠点)キリノッチが陥落したとき、一番喜んだのは(タミル人の拠点都市)ジャフナの住民だった」ことを挙げて一蹴した。タミル人家庭は当初、LTTEに男子1人を徴用されていたが、その後2人も取られることになり、不満を募らせていたという。
25年以上にわたった戦いを一気に終わらせることができた要因に、政府がタミル人市民の不満をうまくとらえたことがあったと分析した。30万人いた国内避難民は3万8000人に減少し、経済も好調だとして、国際社会が抱く復興へ向けた懸念を次々に打ち消していった。
ただし、こうした歩みの影には中国の存在がある。内戦終結は中国からの武器供与抜きには考えられなかったし、支援は港湾などの建設にも及んでいる。スリランカはインドを包囲する中国の支援戦略「真珠の首飾り」の真珠の一つだ。対中関係を「排他的なものではない」と強調するものの、スリランカの港湾が将来、中国に軍事利用されるのではとのもう一つの疑念は依然根強い。
ゲスト / Guest
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G.L.ピーリス / G.L.Peiris
スリランカ / Sri Lanka
スリランカ外相 / Minister of External Affairs,Sri Lanka