2010年07月15日 00:00 〜 00:00
松本正生・埼玉大学教授

会見メモ

昨年8月の衆院選後と同様に、メディアの世論調査を研究している松本正生・埼玉大学教授が、「世論調査に見で見る参院選―続・世­論調査へのエール―」と題して、7月11日に行われた参院選での各社の世論調査の結果について語った。
司会:川戸恵子・日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)

松本正生教授のホームページ
http://sucra-rd.saitama-u.ac.jp/search/profile.do?id=HNDa...


会見リポート

世論調査が変化を作る

原田 哲哉 (読売新聞世論調査部長)

鳩山内閣の支持率急落、鳩山首相退陣、菅内閣発足による内閣支持率のV字回復、参院選での民主党大敗──。参院選前後の内閣支持率や政党支持率はジェットコースターのように、乱高下した。

メディアは変化が激しい政治状況を作り出す一因になっているのか、それとも変化に翻弄されているのか。そんな疑問について、「調査が変化を作る」「パネル化された有権者」というキーワードを用いて、現状を鋭く分析した。

毎月の世論調査と大きな出来事が起きた時の臨時世論調査。「速報世論が首相退陣のような動きを加速させているのではないか」「調査を受ける側も、電話世論調査に慣れて楽しんでいるようだ」という見立てだ。

また、「政権交代後、メディアも冷静になり、世論調査の頻度も落ち着くと思っていたが、そうはならなかった」「世論の指標が内閣支持率に偏りすぎている」とも指摘した。常に政治情勢に気を配り、調査のタイミングを探っている私たちにとっては、耳の痛い言葉である。

世論調査に依存している政治家が「おそるおそる反応を探っている」という見方も、その通りだと思う。実際、菅首相は参院選前、「消費税10%」に言及したが、風当たりが強いと見ると、体系的な説明に時間を割かず、発言を後退させた。

一方、今回の参院選は、メディアにとって判断が難しい選挙だった。民主党が与党として戦う初の大型選挙だったうえ、選挙直前に政治情勢が揺れ動いたためだ。期日前投票が初めて投票総数の20%を超え、当日の出口調査だけで勝負を見極めにくくなったという事情もある。

「期日前出口調査と当日出口調査を結びつけて判断するところまで至っていない」。メディアの調査手法を熟知している松本氏の言葉を「エール」としてしっかり受け止め、よりよい調査を追求していきたい。


ゲスト / Guest

  • 松本正生 / Masao Matsumoto

    日本 / Japan

    埼玉大学教授 / Saitama University

研究テーマ:世論調査

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