2010年06月18日 00:00 〜 00:00
藤原忠彦・全国町村会長・長野県川上村村長「地域深考」5

会見メモ

農家一戸あたりの平均年収2500万円という長野県川上村の藤原忠彦村長がシリーズ研究会「地域深考」⑤で話し、質問に答えた。­藤原村長は2010年4月から全国町村会会長を務めている。

長野県川上村のホームページ
http://www.vill.kawakami.nagano.jp/

全国町村会のホームページ
http://www.zck.or.jp/


会見リポート

農山村再生の「機関車」として

錦織 綾恵 (共同通信内政部)

人口4500人の長野県川上村。村長を6期22年務める。高冷地を逆手にとって推進したレタス栽培で村を「平均年収2500万円」に押し上げる一方、霞が関の官僚と渡り合い、村営バスやCATV(ケーブルテレビ)の全村導入など改革を次々に実現。その剛腕から「機関車」のあだ名がついた。

汚職事件で失職した前会長に代わって、4月、全国町村会長に就任。地域主権改革が叫ばれる中、全国の町村を取り巻く状況は依然厳しい。「平成の大合併」についても「国の強力な指導でマイナスを生んだ地域が相当ある」と一刀両断。「50人の村でも50人の自治がある。担税能力がなくなったから、行政組織をなくす、という流れはおかしい。担税能力を補完するのが国家の原則だ」と今後の道州制論議をけん制する。

「人口で過疎、過密とくくられるが、住民が幸せに暮らせるのなら、小さな村でもいい」とも。そんな持論に説得力を持たせるのが川上村での取り組み。25年前には築かれていた「レタス王国」の地位に安住することなく、新種レタスの開発や、農業経営情報を発信する村営CATVを開局。農家の高収益を実現させた。

このCATV導入時も、赤字路線バスとスクールバスの統合を目指したときも国の規制と前例主義が立ちはだかるが、省庁職員を夜討ち朝駆け、課題を丁寧に説明し、大臣許可や補助金をもぎとった。「行政にできないことは何もない」

地域主権改革をめぐっては「改革の一丁目一番地」に位置付けた鳩山由紀夫前首相が退陣。財政再建を最優先課題に掲げる菅直人内閣では、地方交付税抑制など地方に厳しい政策が提案される可能性も。「地方に潜在能力があると認めてもらわないと、国と地方の関係はうまくいかない」と国の姿勢に疑問を投げ掛ける。農山村をよみがえらせる「機関車」となるか。全国941町村の期待を背負う。


ゲスト / Guest

  • 藤原忠彦 / Tadahiko FUJIWARA

    日本 / Japan

    全国町村会長・長野県川上村村長 / Kawakami Village Mayor, Nagano Prefecture

研究テーマ:地域深考

研究会回数:5

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