2010年05月17日 00:00 〜 00:00
志位和夫・共産党委員長

申し込み締め切り


会見リポート

首相は行き先を間違えた

西川 孝純 (共同通信特別編集委員)

委員長在任はほぼ10年に及び、歴戦の闘士である志位氏にとっても先ごろの訪米は高揚感あふれ感慨深いものだったようだ。何しろ、かつては打倒すべき帝国主義の総本山であり、入国自体が困難だった。

それが2004年の党綱領改定で、帝国主義論を改め米国にも事実に即して対応するという方針に転換。そして核なき世界を訴えたオバマ大統領の登場という時代の変化が、共産党委員長としての初訪米につながったとの認識を示した。

会見ではニューヨークでの核拡散防止条約(NPT)再検討会議に参加して行った独自の平和・反核運動と、ワシントンでの米政府・議会関係者との普天間飛行場問題をめぐる意見交換の内容を説明。

成果として①核のない世界を願う被爆国、日本の思いを国際社会に訴えた②基地のない沖縄、対等の日米関係を願う沖縄県民と国民の声を米政府に直接伝えた─を挙げた。

志位氏はNPT再検討会議の関係者に「核廃絶のための国際交渉開始」を力説したとする一方、「会議で日本の存在感は全くなかった。われわれの行動は本来、政府がやるべきこと」と指摘した。5月4日に鳩山由紀夫首相が沖縄を訪問して海兵隊の抑止論を強調したことについて「首相はニューヨークに行って沖縄の苦悩を語るべきだった。行く方向が間違っている」と批判した。もっともな指摘だ。米政府関係者との会談は平行線をたどったが「立場の違いを超えて対話を続けることを確認できた」と意義を語った。

参院選では6議席以上を目標に挙げ「財界や米国に正面からものを言えるかどうかが問われている」と新党をけん制した。老舗政党としての自負心は分かるが、党勢が伸び悩む中で議席増を実現できるかどうか委員長の真価が問われる。


ゲスト / Guest

  • 志位和夫 / Kazuo SHII

    日本 / Japan

    共産党委員長 / Chairman of communist party

前へ 2024年03月 次へ
25
26
27
28
29
2
3
4
5
9
10
11
12
16
17
20
23
24
30
31
1
2
3
4
5
6
ページのTOPへ