会見リポート
2010年05月14日
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レシャード・カレッド・「カレーズの会」理事長・医師
会見メモ
アフガニスタンの医療・教育を支援する活動に取り組むアフガニスタン出身の静岡県の医師、レシャード・カレッドさんが研究会「ユーラシア」⑭「アフガン」で話した。
「カレーズの会」のホームページ
http://www.chabashira.co.jp/~evolnt/karez/framepage.top.htm
レシャード・カレッドさんの著書「知ってほしいアフガニスタン」のサイト
http://www.koubunken.co.jp/0450/0430.html
「アルカイダとタリバンを区別すべきだ。軍事行動が解決策ではない」
レシャード・カレッドさんは1950年、カンダハール生まれ。京都大医学部に留学し医師となり、現在は静岡県島田市の医院長。「カレーズの会」のカレーズはアフガニスタンで「地下水脈」を意味し、会員一人ひとりが水滴となり流れを作ることを目指している。アフガニスタンに医療施設や学校を建設し、レシャードさんも現地を訪れ、医療にあたっている。
レシャードさんは最近、現地で撮影した患者や治療の写真やデータを使いながら、現状を説明した。2010年1月、車で移動中に地雷が近くで爆発した経験を話し「爆発があると、すぐに米軍の爆撃機が飛んできて空爆する。そちらの方が大惨事になりかねない」と危険な戦場の実態を語った。
日本のアフガン支援について「アフガンを語ることが何か時代遅れのように受け止められている。世論が関心を持つことが何よりも大事です」と訴えた。
タリバンについて、「一般のアフガン国民の支持がある」と述べた。その理由を質問されると、ソ連撤退後の軍閥による内戦と混乱をタリバンが収拾し秩序を取り戻した記憶が人々に残り、いまも市民の好感や期待感につながっていることを説明した。
アフガニスタン政府がタリバンと対話し、タリバンの政権参加の条件を話しあい、国際社会や日本がそうした条件の実施を保証するシステムを作るよう求めた。
司会 石郷岡建・日本記者クラブ企画委員
使用した資料です。
http://www.jnpc.or.jp/files/opdf/454.pdf
会見リポート
アフガンに必要なのは関心
川端 俊一 (朝日新聞社会グループ)
アメリカの中枢がテロにみまわれ、怒れる大国の攻撃が嵐のようにアフガニスタンに降り注いだのは2001年。その翌年、アフガンの医療、教育を支援するため、非政府組織「カレーズの会」を日本で結成した。カレーズとは、人知れず大地に潤いを与える地下水脈を意味する。
年末年始も現地で活動した。今も続く空爆と自爆テロ。子どもたちは栄養失調でやせ細る。とりわけ深刻なのは妊産婦の疾病だ。感染症に加え、戦争によるPTSDも高い率を占める。「患者は年々増え、診療所の外に並んでいるのです」
アフガニスタン生まれ。戦後日本のめざましい復興の歴史に関心を持ち、20歳前の69年、日本に留学した。京都大学で医学を学ぶが、ソ連のアフガン侵攻で帰国の機会を逸し、日本に定住する。
アフガンの文化や複雑な政情は、今でも各国で十分に理解されているとは言い難い。現にタリバンへの支持は依然、根強いという。「暴力を肯定するのではないが、民主主義でも押しつけではだめなのです」。人々が厚い信頼感を抱く日本に、「顔の見える支援を」と訴える。
静岡県島田市で医院を営み、医師のいない山村にも往診に向かう。「患者が病院に来るのではなく、医療者が患者のもとへ出向くべきだ。それが私の理念です」。思いは、異郷・日本でも遠い祖国に戻っても変わらない。「志」があれば、国境や文化の違いを乗り越えることは決して不可能ではないのだ。
故郷を思い、切なる願いをこう語った。「アフガニスタンにとって、今ほしいものは何か。一番必要なのは関心をもってもらうことです」
空爆と治安悪化にあえぎ、最低限の人権すら尊重されぬ人々の存在に、日本人が関心を失うならば、それは超えがたい壁となる。その壁を崩すのは、われわれ報道の役割でもある。
ゲスト / Guest
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レシャード・カレッド / Khaled Reshad
アフガニスタン、日本 / Afghanistan,Japan
「カレーズの会」理事長・医師 / Executive Director, Karez Health & Educational Service
研究テーマ:ユーラシア