2010年05月12日 00:00 〜 00:00
アビグドール・リーベルマン・イスラエル外相

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会見リポート

イラン核開発は最大の脅威

出川 展恒 (NHK解説委員)

リーベルマン外相は、旧ソ連出身のユダヤ系移民を中心とする極右政党の党首で、数々の挑発的な言動で物議を醸してきた。“問題発言”を待ち構える独特の空気の中、外相は、核開発を続けるイランについて、「イスラエルだけでなく、世界全体にとって最大の脅威だ。シリアと北朝鮮を加えた3カ国は、核やミサイル開発で協力する“悪の枢軸”だ」と強調した。

私は、▼制裁強化でイランの核開発を止められるか、▼止められない場合、どういう選択肢を考えているか、と質問した。

外相は、「もし、イランが核保有国となれば、中東でクレージーな核兵器開発競争が始まる。イランはナチス・ドイツに匹敵する脅威だ」などと、長い演説になった。上記の点について再度回答を求めると、「すべての選択肢がテーブルの上にあるが、まず、国連安保理の追加制裁だ。強力な制裁なら効果を期待できる」と答えた。ネタニヤフ政権がイラン核施設への軍事攻撃も考慮していることを示唆しつつも、多くは語らなかった。

続いて、長らく中断していたパレスチナとの和平交渉が、米国特使を介した「間接交渉」の形で再開したことに、質問が移った。外相は、「仲介者を立てず、直接交渉するのがベストだ。平和を押しつけることはできない」と述べ、オバマ政権から圧力を受けることに警戒感を表した。

また、交渉再開の障害となった東エルサレムでの入植活動について、「エルサレムは、“統一された都市”で、すべての宗教と人民に開かれている」と答え、東エルサレムは「占領地」ではなく、ユダヤ人入植住宅の建設計画は撤回しないとする立場を、ソフトな表現でアピールした。外相就任から1年余り、自らの発言の影響を計算し、慎重に言葉を選ぶ姿勢が、かえって印象に残った。

ゲスト / Guest

  • アビグドール・リーベルマン / Avigdor Liberman

    イスラエル / Israel

    イスラエル外相 / Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs,Israel

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