2010年04月22日 00:00 〜 00:00
ジャクリーン・ノボグラッツ・アキュメン・ファンド創始者兼CEO

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会見リポート

“援助”でなく尊厳につながる“投資”

築島 稔 (朝日新聞GLOBE編集チーム)

相手の目をじっと見つめて質問に答える姿に、りんとした強さを感じた。ルワンダの女性向けのマイクロファイナンス団体の設立・運営など80年代からアフリカの現場を中心に活動を続けてきた実績への自負がにじみ出ていた。

イースタリーの著書『傲慢な援助』の表現を借りれば、上から目線で計画を押しつける「プランナー」ではなく、現場目線で必要な支援を考える「サーチャー」だ。自らの経験が、現場重視の雰囲気をさらに醸しだしているのかもしれない。

未解決の貧困問題に対する彼女のアプローチは「忍耐強い資本」の投資だ。2001年に彼女が創設したアキュメン・ファンドは、リターンが少ない可能性を認識しつつも、途上国で貧困問題の解決にからむビジネスの起業家に投資する形で支援している。

「貧しい人は依存ではなく、尊厳を望んでいる」という考えが軸にある。「慈善活動は、期待値が低すぎて失敗することがあった」と指摘したように、従来の寄付や援助と一線を画す。水や住宅などを手頃な値段で提供できる新しいビジネスに対して、1件あたり30万~250万ドルを投資する。現在では16カ国、200人以上が1万ドル以上を寄付しているほか、大手財団からの寄付も集める。投資総額はおよそ4000万ドルにまで増え、周囲からの期待がうかがえる。

ルワンダで活動支援したベーカリーショップは、1994年に発生した大量殺害で営業できなくなった。一緒に団体を設立したパートナーには殺された者もいれば、大量殺害の罪で終身刑を受けた者もいる。そんな悲劇を経験しながらも「変化も起きるということも見た」とプラス面を強調した。日本語に翻訳された著書『ブルー・セーター』でもかいま見ることのできる彼女の活動は、今後も要注目である。

ゲスト / Guest

  • ジャクリーン・ノボグラッツ / Jacqueline Novogratz

    アメリカ / USA

    アキュメン・ファンド創始者兼CEO / founder and CEO of Acumen Fund

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