2010年04月16日 00:00 〜 00:00
ジグミ・ティンレイ・ブータン首相

申し込み締め切り


会見リポート

外国援助依存は2020年まで

村野 坦 (元朝日新聞調査研究室長)

ヒマラヤ山系の立憲君主国ブータン。この国から初のクラブゲストになる一行は独特の民族衣装でやってきた。インドと中国チベットに挟まれた人口約70万の小国がいま、存在感を放つのは国々の経済発展の尺度がGNP(国民総生産)に置かれる中、前4代国王が唱えたGNH(国民総幸福)の考え方を国づくりの指針に掲げていることだろう。

会見で首相は自国の開発と近代化についてセールスマンのように語った。外国の援助への依存は「今後10年間」と区切り、環境条件をフルに生かした「グリーン経済」によって達成させたい、と明言。そこにGNHの役割があって「全国民に意識的に幸福を追求してもらいたい」と力説した。具体的な説明を求める質問には「答えるには2時間かかる」と言いながら国民に貧富差が少ない、森林資源が豊か、安定した治世など条件が備わっていることを挙げた。

これまで日本が果たしてきた農業の技術指導、インフラ整備、教育の振興といった援助に「意味ある貴重な支援をいただいた。最も大切な開発のパートナー」と感謝した。この点は私自身、2月にブータンを旅して私たちと風貌やメンタリティーが良く似た人々が日本に強い敬愛の念を抱いているのを実感したところだ。

直前の鳩山首相との会談が延びて会見は少し遅れて始まった。2人は「幸福について話し合い、完全に意見が一致した」という。鳩山首相には心癒されるひとときだったに違いない。

米国、欧州での外交活動を経て、ここ10年以上、外相や首相を務めるだけに、なめらかな英語で自信に満ちた応対ぶり。ゲスト帳には筆ペンを選び公用のゾンカ文字で署名、「幸あれ」の言葉を添えた。
 

ゲスト / Guest

  • ジグミ・ティンレイ / Jigme Thinley

    ブータン / The Kingdom of Bhutan

    ブータン首相 / Prime Minister of The Kingdom of Bhutan

ページのTOPへ