2010年04月15日 00:00 〜 00:00
池田守男・公益認定等委員会委員長

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会見リポート

公益法人 淘汰でなく質の向上へ

清水 孝幸 (東京・中日新聞政治部次長)

「企業の『自助』、政府による『公助』が肥大化し、人と人とが助け合う『共助』の精神が喪失した。ぬくもりと温かみのある社会をつくっていくためには、民による公益活動が盛んになる必要がある」

百年以上前に創設された公益法人制度の改革が進められている。その第一線に立つのが池田守男氏だ。

新制度は2008年12月に施行され、5年かけて移行する。従来の各省や自治体による許認可を廃止し、登記だけで一般法人を設立。その中で基準を満たすと認定されれば「新公益法人」として税の優遇を受けられる。認定の判断は内閣府の第三者委員会と都道府県の機関が担い、池田氏は内閣府で委員長を務める。

役所の審査は厳しくなりがちだが、資生堂の社長時代、トップダウンでなく、下から支えるサーバント・リーダーシップに徹したという池田氏は温かい審査に努める。それでも、内閣府所管の約7000の公益法人のうち、これまで新公益法人に認められたのは約170。申請や審査のスピードアップを目指し、ホームページを分かりやすく改修したり、出前相談会を実施していくという。

いま鳩山首相が掲げる「新しい公共」の担い手として、NPO(民間非営利団体)が注目されている。公益法人というと、天下りや役所からの補助金など“悪役”のイメージが先行しがちだが、そうした団体は一部にすぎない。公益法人も前面に出てしかるべきだ。

池田氏は新制度について「公益法人が従来の主務官庁の枠にとらわれず、事業を見直し、活動を広げる好機にしてほしい」と力説する。2万4000ある公益法人の淘汰でなく、質の向上につなげ、国民一人一人が「公」を担う全員参加型の社会を目指したい。そんな改革にかける熱い思いが伝わってくる会見だった。
 

ゲスト / Guest

  • 池田守男 / Morio IKEDA

    日本 / Japan

    公益認定等委員会委員長 / the Chairman of Public Interest Corporation Commission

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